アイ・ロボティクス社、構造物の「いま」をデジタルアセット化。空x地上xAI等を組み合わせ活用した次世代施設マネジメントソリューションを提供開始

株式会社アイ・ロボティクス(本社:東京都渋谷区、代表取締役:安藤 嘉康)(以下、アイ・ロボティクス社)が、屋内・屋外を問わない独自技術を用いたドローンの運用に加え、公共測量にも対応した高精度ハンディースキャナーと自律・遠隔操作移動ロボットによる計測技術、さらに各々で得られた個別データを合成生成する技術を活用し、施設全体のデジタルツインを短期間かつ高精度で作成。さらにそれらを活用するところまで伴走する新ソリューションを開始することを発表した。

本ソリューションの概要

本ソリューションでは、高精度ハンディースキャナーとドローンやロボットによる測量技術、そして各々で得られた個別データを合成生成する技術を活用し空間の3D点群データ取得から360°カメラによる視覚情報、LiDARスキャナーによる計測、AIによるモデル補正、CADデータへの変換、までをワンストップで対応。
さらに、生成した3Dモデルをもとに、施設のミニチュア模型(3Dプリント用)も簡易に出力可能となる。

これらのデータは未来につながるデジタルアセットの確保という点のみならず、点検・改修・維持管理から、解体・廃棄に至るまでのライフサイクル全体における一貫した計画立案を可能とするとともに、防犯・防災、観光用途まで幅広い活用が期待されている。

本ソリューションの背景と課題

近年、施設管理や老朽化対策の現場では、「正確な現況把握」と「可視化による判断支援」の重要性がかつてないほど高まっている。

全国でインフラや建築物の老朽化が進む中、限られた人手と予算で高度な維持管理と安全性の確保を求められる現場においては、現況を迅速かつ的確に把握し、関係者全員が共通の情報をもとに判断・対応できる仕組みが不可欠と考えられる。

しかし、実際の運用現場では、以下のような課題が散見されている。

●現況データがアナログアセットに依存しており、情報更新・共有が困難
●出入り業者や部署ごとに記録内容が異なり、意思決定に必要な全体把握が困難
●異常検知や補修判断が職人により属人化しており、定量的な評価が困難
●工事の計画に必要な現地調査が繰り返され、時間とコストが増大
●大規模施設の調査には多くの業者や高所作業が必要
●現場計測データと設計ソフト間の連携に膨大な手作業が発生している

これらの課題に対し、アイ・ロボティクス社は「現場をそのまま“デジタルアセット”に変える仕組み」を開発し、短期間・少人数・高精度かつ再現性の高い運用を可能とした。

本ソリューションの特長とメリット

効率的なデータ取得
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様々な手法を用いた橋梁の点群化

従来の施設計測では、ドローン操縦者や測量用のLiDAR機材をそれぞれ別に手配する必要があり、加えて高所や狭隘部での計測には仮設足場の設置が不可欠だった。
そのため、工程全体が煩雑かつコスト高となり、日程調整や安全管理にも多くの手間を要していた。

アイ・ロボティクス社では、これまでに培ったドローン運用の知見を活かし、公共測量対応のハンディスキャナー、SfM技術、生成AIによる画像補正などを組み合わせることで、現場の状況に応じた最適な機材選定と運用設計を実現している。これにより、短時間かつ高効率で空間全体を網羅的にデータ取得できる仕組みを構築しした。

特に、360°カメラを搭載した小型ドローンによる高所・狭隘空間の全方位撮影は、仮設足場の設置が不要で安全かつスピーディな点検・計測が可能となっており、他にはない包括的なソリューションとなっているという。

高精度な計測

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点群化された橋梁の俯瞰画像

従来のドローン単体での測量では、精度は数センチから数十センチ単位にとどまることが多く、追加の再測量や後処理による補正が必要になるケースが一般的だった。
また、高精度の計測を求める場合は機材が大掛かりとなり、導入ハードルが高いという課題も存在していた。

アイ・ロボティクス社では、複数機材の特性を踏まえた補正アルゴリズムやAI技術を活用し、現場ごとに最適な精度を調整・確保、また、必要に応じて有資格者の測量士や各領域の専門家との連携を行い、公共測量水準レベルの高精度点群データの取得を可能としている。

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点群データからCADデータへの変換

また、取得したデータから必要な範囲のみを切り出す「カーブアウト処理」や、セキュリティ上写してはならない部分の除去処理なども柔軟に対応可能。これにより、安全かつ高信頼なデジタルアセットとして活用することが可能だ。

モデル作成
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点群データから生成されたドローンフィールドKAWACHIのデータ

これまでの点群処理では、CADデータへの変換において手動でのポリゴン修正やノイズ除去が必要であり、多大な人手と時間を要していた。

イメージ画像出力されたデータはメタバースへの投入が可能

アイ・ロボティクス社では、複数の自動メッシュ補正技術を組み合わせることで、従来比で大幅な作業時間とコストの削減を実現しているとともに、今後さらに生成AIなどを用いた最適化アルゴリズムの導入を計画している。これにより、人為的なばらつきを抑え、再現性の高い高品質な3Dモデルを安定して生成することが可能としている。

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点群データからモデル化された橋梁のデータ
 
多様なデータ出力モデル
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3Dプリンティング用のデータ

一般的なサービスでは、取得できるのは点群データのみであり、設計や計画に活用するためにはCADデータへの変換や3Dプリント用データの整備を別業者へ外注する必要があった
アイ・ロボティクス社では、点群データ、CADファイル(IFC/DWG)、3Dプリント対応フォーマット(STL)を含む多様な出力形式にワンストップで対応。
これにより、以下のような活用が可能となった。

〇設計者や施工業者とのコミュニケーションの円滑化
〇改修・更新計画の迅速化
〇地域住民向け説明会や観光用途への転用
〇構造物撤去・廃炉計画などのシミュレーション
〇災害時等におけるレスキュー侵入経路設計
〇自律型ロボット・ドローンの経路計画
〇AR/VRを用いた避難訓練策定

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3Dプリンティング中の模様

3D化されたモデルは、単なる計測データを超えた長期的な“公共デジタルアセット”としての価値を持つ。

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現場で利用可能なミニチュアモデルとして再構成
 
拡張性
従来の3D計測サービスでは、目的ごとに異なるデータを作成する必要があり、重複作業や費用負担が大きな課題となっていた。

本ソリューションでは、初期取得データをベースに、防犯・防災、ファシリティマネジメント(FM)、教育、観光、アーカイブといった多分野でのデータ再利用が可能な構造を設計段階から採用。また、データをシミュレーターやゲームプラットフォームの中にそのまま入れて自在に歩き回る、ドローン・ロボットの運用経路をシミュレーションするなどの活用も可能だ。

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データは自由に視点を変えることが可能

これにより、1回の取得で複数部門・用途に展開できるだけでなく、将来的な都市整備や行政DX、地域ブランディングにも貢献できる、新しい形のインフラ情報管理基盤を提供するという。

アイ・ロボティクス社ではこれらの先端技術を活用し、更なる技術高度化と社会実装に協力する共創パートナー企業を広く募集しているとのことだ。

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出典

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