古野電気、「国際フロンティア産業メッセ2025」に初出展。測量向け水上ドローン・気象観測機器などの紹介を実施

古野電気株式会社(本社:兵庫県西宮市、代表取締役社長執行役員:古野幸男)(以下、古野電気)は、2025年9月4・5日に神戸国際展示場で開催された西日本最大級の産業総合展示会「国際フロンティア産業メッセ2025」に初出展した。
同展示会では、測量向け水上ドローン・気象観測機器などの紹介が行われた。

「国際フロンティア産業メッセ2025」への出展について

イメージ画像
展示会出展時の様子

本展示会は、企業・大学・研究機関による先端技術や新事業創出の基盤となる製品展示を中心に、基調講演・特別講演、各種セミナーや交流会など、多彩なプログラムが展開される西日本を代表する産業展示会。
産学官の連携を促進し、技術交流や新規事業創出のきっかけとなる場として期待されている。

古野電気は、「安全安心・快適、人と環境に優しい物流の実現、海・陸・空へのシームレスな技術貢献」をテーマに、深浅測量向けの水上ドローン『Furuno Bathymetric Solution』やドローン運航において重要な小型マイクロ波放射計『KASMI(カスミ)』の他、雲カメラ「CMOMIL(クモミル)」や簡易型クラウド遠隔監視カメラ「FWC(フルワイヤレスカメラ)」を出展。
さらに周辺監視において重要な役割を担う「ミリ波レーダー」の参考出展も行った。

深浅測量向けマルチビームソナー搭載水上ドローン『Furuno Bathymetric Solution』

イメージ画像
水上ドローン『Furuno Bathymetric Solution』

『Furuno Bathymetric Solution』は、古野電気社製の小型水上ドローンボートにマルチビームソナーを搭載した深浅測量向けのドローン。
本艇体は「小型・軽量(約25kg)」をコンセプトに設計されており、従来の測量方法に代わる新技術として、国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」への登録申請も進められている。
近年増加しているダム・貯水池・河川などの測量業務において、災害対策の一環としても活用が期待されている。

『Furuno Bathymetric Solution』の特徴

導入しやすい ― 初めてでも安心のエントリーモデル
最小限の知識で導入可能。
現場での計測・調査負担を軽減する簡易システム必要な機器・ソフトウェアが揃ったオールインワンパッケージ。
機能と精度を絞り込むことでコストを抑えた設計。

現場で使いやすい ― 軽量・コンパクトで柔軟な運用
組み立て簡単、宅配便での発送も可能なコンパクト設計。
有人船が入れない浅瀬でもデータ収録が可能。

安心の設計とサポート ― 導入後も万全のフォロー体制
船体・センサー・ソフトウェアまで一括設計&専用窓口によるサポート。
CADフォーマット(DXF、TIN)での出力に対応。

気象観測装置 小型マイクロ波放射計「KASMI」

イメージ画像
小型マイクロ波放射計「KASMI」

イメージ画像

「KASMI」は、ドローンの離発着や航行ルートの安全性向上に貢献する気象観測装置となっている。
大気中の水蒸気が自然に放射する微弱なマイクロ波(22GHz帯)を受信することで、水蒸気量を高精度に観測。

本装置は、可降水量や水蒸気密度の高度分布をリアルタイムかつ高時空間分解能で推定できるという特長がある。

観測アルゴリズムには機械学習モデルを採用しており、設置場所の気象状況に応じた柔軟かつ高精度な推定が可能。
さらに、小型・軽量で高い機動性を備えているため、遠隔地やドローンポート、航行ルート上など、さまざまな場所への設置が容易だ。
局地的な水蒸気流入の観測により、線状降水帯などの局地的豪雨発生の兆候を早期に捉えることができ、ドローン運用におけるリスク低減と運航の最適化に貢献する。

気象観測装置 雲カメラ「CMOMIL」

イメージ画像
雲カメラ「CMOMIL」

「CMOMIL」は、光学カメラで取得した画像データを解析することで、雲の位置や移動方向を特定できる気象観測装置。
撮影したデータは、本体内蔵の通信モジュールを通じてサーバーに送信・解析されるため、通信用の配線が不要で設置も容易である。

雲の動きから短期的な雲量の変化を把握できるほか、「KASMI」との併用で、ドローンポートや航行ルート上のより詳細な天候把握が可能だ。

簡易型クラウド遠隔監視カメラ「FWC」

イメージ画像
簡易型クラウド遠隔監視カメラ「FWC」

イメージ画像
一般的なカメラ(露光・フラッシュ無し)による映像

イメージ画像
FWCでの撮影写真(夜間・暗い場所でもフラッシュ無しで撮影可能)

「FWC」は、夜間撮影が可能なソーラー&バッテリー一体型の遠隔監視カメラ。
超高感度センサを搭載しており、暗所や夜間でもフラッシュなしで鮮明な画像撮影が可能となっている。

また、配線不要のソーラーパネル一体型設計により、大規模な工事を伴わず、設置後すぐに運用可能。
無日照環境下でも、5分に1回の撮影であれば約7日間の連続動作が可能だ。

通信はLTEおよびWi-Fi HaLow™(IEEE802.11ah)に対応しており、クラウドを活用した遠隔監視が可能。
さらに、古野電気社の「ミリ波レーダー」との併用により、天候に左右されることなくドローンポートの障害物監視にも活用できる。

「ミリ波レーダー」(参考展示)

古野電気社が長年にわたり船舶向けに培ってきたレーダー技術を応用し、近距離監視に特化したレーダーを開発。
本レーダーは、天候や明るさなどの外部環境に左右されずに対象物を検知できるのが特長となっている。
カメラやLiDARでは検知が難しい悪天候時や夜間の監視にも対応可能で、これらの機器と併用することで、ドローンポートなど重要なエリアの障害物監視における精度と信頼性をさらに高める。

レーダー カメラ LiDAR
計測手法 電波(76GHz) 光学センサ レーザ
天候対応(雨・霧)
計測距離 約100m(人体) 数10m 数10~100m
出力データ 中精度2Dマッピング 高解像度画像 高解像3Dマッピング

今回の出展を通じて、古野電気社の技術が社会インフラの高度化や、持続可能な未来の実現に貢献し得ることが改めて実感された。
今後も、「安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現」という事業ビジョンのもと、古野電気社は海・陸・空の各領域において、技術革新と価値創造に積極的に取り組んでいく。

ーーーーー

出典

関連記事

テラドローン社、令和7年度緊急消防援助隊近畿ブロック合同訓練において、JAXAが主導する有人機と無人機の連携に係る実証実験に参加

Terra Drone株式会社(本社:東京都渋谷区、代表:徳重 徹)(以下、テラドローン社)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)が主導する、有人機と無人機の連携に係る実証実験に参加した。

  tera

航空防災協議会、11月8日に「第3回臨時総会」を石川県輪島市にて開催

「航空防災協議会」は、全国の自治体や関係機関の連携のもと、2025年11月8日に総会を石川県輪島市門前町 仮設集会所で開催した。 令和6年能登半島地震の被災地・輪島市にて、全国の自治体と関係機関が集い、航空防災の未来が語り合われた。 官民連携による実証と制度設計が進む中、空からの支援体制構築に向けた新たな一歩が踏み出さるものとなった。

  tera

KDDIスマートドローン社ら3社、自動充電ポート付きドローン活用により遠隔で立坑内を「デジタルツイン」化

西松建設株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:細川 雅一)と五洋建設株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:清水 琢三)、およびKDDIスマートドローン株式会社 (本社:東京都千代田区、代表取締役社長:博野 雅文)は、人手による測量が困難かつ負荷の高い「立坑(たてこう)」という特殊な施工環境において、短時間かつ高頻度で現場全体を記録できる自動充電ポート付きドローンを活用し、3次元測量を実施。 この取り組みの結果、周期的な飛行による土量変化の把握(進捗管理)と出来形測量を重ねることで、GNSS(注1)信号下の深部の施工箇所において、誤差±20mmという高精度な出来形データを取得することに成功した。

  tera

鴻池運輸社、鉄鋼関西支店が「和歌山市一斉安全行動訓練」に協力。ドローンを活用した避難広報を実施

鴻池運輸株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長執行役員 鴻池 忠彦)(以下、鴻池運輸社)の鉄鋼関西支店は、和歌山市が2025年11月5日に実施した「和歌山市一斉安全行動訓練」に参加。 災害発生時におけるドローンを活用した支援訓練を実施した。 本訓練への協力は、2024年7月に同支店が和歌山市と締結した「災害時等におけるドローンを活用した支援活動に関する協定」に基づくものである。

  tera

今治市からしまなみ海道沿線の大島へ「ドローンによる医療物資輸送」を実証。国家戦略特区の支援でレジリエンスを強化

今治市(市長:徳永繁樹)が国家戦略特区の一環で設置している「近未来技術実証ワンストップセンター」による支援のもと、斎藤クリニック(今治市、院長:齋藤早智子)とイームズロボティクス株式会社(本社:福島県南相馬市、代表取締役:曽谷英司)(以下、イームズロボティクス社)が連携し、南海トラフ地震を想定したドローンによる医療品輸送の実証実験を実施した。 離陸地点は今治市内の砂場スポーツ公園(今治市砂場町1-662)、着陸地点はしまなみ海道沿線の大島・海宿千年松キャンプ場(今治市吉海町名駒25)。 来島海峡上空の片道約4kmを約10分で結び、災害時における島しょ部への医療支援の即応性が検証された。

  tera