【国際ドローン展企業レポート】超狭小空間点検ドローン『IBIS2』の動きを実演で見る<Liberaware>

2024年7月24日から26日にかけて、東京ビッグサイトで催された展示会『国際ドローン展』。 40社・団体が出展したブースのひとつに「株式会社Liberaware(以下、Liberaware社)」もありました。 こちらのブースでは、超狭小空間点検ドローンをうたう設備点検用ドローン『IBIS2』の展示やデモ飛行などが行われていました。

デモンストレーションで『IBIS2』の性能を見る

イメージ画像

国際ドローン展では、ブース内にデモ用コースに設営され、Liberaware社のパイロットによる『IBIS2』の実演が随時行われていた。
垂直に伸びたコースの先には、コースを直進するのを阻むポールが。
デモンストレーションを任されていた担当パイロットの巧みに操縦により、『IBIS2』は障害物に触れることなくコース内を縦横無尽に移動していた。

『IBIS2』の特徴

イメージ画像

狭い・暗い・危険といった人間が入ることのできない空間の点検活動を行うことのできる『IBIS2』。
このドローンの特徴を見ていこう。

ポイント1 : 暗闇・粉塵環境下での鮮明な撮影

『IBIS2』は、暗闇や粉塵環境であっても鮮明な撮影が可能となっている。
Liberaware社独自の防塵構造モータを搭載しているIP51規格の機体となっており、粉塵や水滴環境下であっても飛行が可能。

なおかつ、暗闇や粉塵環境下での撮影ができるように、感度の高いイメージセンサーと自然光に近い色のライトなどを搭載している。

ポイント2 : 最深部までの進入を可能にする安定飛行

Liberaware社が独自開発した飛行制御システムやラウンドフォルムを採用した『IBIS2』。
それらのシステムなどが、壁面などへの衝突が想定される入り組んだ空間での安定飛行を実現させている。

ポイント3 : 狭小空間への進入を可能にする業界最小クラス20cmのボディ

『IBIS2』の機体サイズは、約20cm。
これは、産業用途のドローンとしては業界最小クラスのサイズとなっている。

本体サイズが小さい事が、30cm点検口への進入や直径50cmの配管内の飛行を可能としている。

ポイント4 : 万が一の際のリスクを回付する業界最軽量クラス243gの本体重量

『IBIS2』の機体重量は243g。
柔軟なポリカーボネート素材を採用したその軽量なボディは、産業用途のドローンとしては業界最軽量クラスの質量となっている。

そのため、万が一の際も施設を傷つけにくいうえに、機体の損傷リスクを低減する。

ポイント5 : 電波が届かない場所で飛行

Liberaware社が開発したエクステンションアンテナを搭載している『IBIS2』。
電波の届かない環境であっても、無線環境を作ることで飛行を可能とします。

ポイント6 : 帰還率向上させるタートルモード

『IBIS2』は、上下反転した状態からも、タートルモードを使用し再離陸が可能。
残置リスクが軽減されるこの機能により、ドローンの帰還率の向上につながる。

ポイント7 : 最大飛行時間11分

『IBIS2』は、機体サイズが約20cmで重量は243gと産業用ドローンとして最小最軽量サイズとなっている。
一方で、その飛行時間は最大11分を保持している。

ポイント8 : 上方カメラとサーモカメラを搭載

『IBIS2』は、オプションパーツのペイロードを取り付ける事で、上方カメラ・サーモカメラなどの撮影も可能。
点検業務の幅を広げることができる。

『IBIS2』でできる事

イメージ画像

想定される点検箇所

『IBIS2』を活用した点検箇所としては、以下のような場所・空間があげられる。

● ダクト・配管内部
● 煙突内部
● 天井裏・地下ピット
● エレベーター・橋梁内部
● ボイラー内部
● 下水道・カルバート内部
● タンク内部

画像処理による三次元データ生成

『IBIS2』で撮影した映像は、画像処理を施すことで点群データ・3D画像・オルソ画像などの生成が可能となっている。

『IBIS2』導入メリット

『IBIS2』を現場に導入した際のメリットとして、Liberaware社は以下のような項目をあげている

● 稼働停止時間の削減
人間が目視で狭小空間の点検を行うとなると、⾜場の設置や終了後の撤去がひつようとなる。
しかし、空中を移動する『IBIS2』が点検を行えばそれらの作業は不要となる。

結果、点検の時間を⼤幅に短縮ができる。

● 危険な作業の削減
点検作業を行う場所の中には、埃や塵が舞う空間や危険となりうる場所も時にはある。
しかし、『IBIS2』が点検を行うならば、そのような危険な空間に進入するのは『IBIS2』だけとなる。

そのため、人身事故のリスクを削減する事ができる。

● 人間の⼊れない場所も点検可能
点検が必要な個所であっても、時に人が入れないほど狭い空間もある。
業界最小クラスの機体となっている『IBIS2』ならば、人が入れない空間であっても安定した移動が可能。

Project SPARROW

イメージ画像

Liberaware社では、現在「Project SPARROW」という事業も進めている。
この「Project SPARROW」のプロジェクト名は、「SPecialized Aerial Remote Railway Observation Work platform」の頭文字から来ている。
国土交通省による「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3基金事業)」の「鉄道施設の維持管理の効率化・省力化に資する技術開発・実証」として採択された事業だ。

常に点検・保守が必要となる鉄道のドローンによる自動循環と、ドローンが収集した情報を閲覧・分析できるデジタルツインプラットフォームを開発する事で鉄道インフラ点検における安全性向上と生産性向上の実現を目指している。

この「Project SPARROW」のコンセプトムービーが国際ドローン展ではブース内で流れていたが、その映像は株式会社Liberawareの公式YouTubeチャンネルでも視聴可能となっている。

関連記事

【国際ドローン展企業レポート】ドローンによる点検・測量から空撮に農林業サポートまで<九電ドローンサービス>

2024年7月24日から26日にかけて、東京ビッグサイトで催された展示会『国際ドローン展』。 40の企業・団体が出展したブースのひとつに「九電ドローンサービス株式会社(以下、九電ドローンサービス社)」もあった。こちらのブースでは、九電ドローンサービス社が提供する各サービスの説明や実際に現場で用いられているドローンの展示が行われていた。

  yoshi

【メンテナンスレジリエンス展企業レポート】モバイル通信で変わるドローン運用<KDDI スマートドローン>

2024年7月24日から26日にかけて、東京ビッグサイトで催された展示会『メンテナンスレジリエンス展』。出展ブースの中に「KDDI スマートドローン株式会社(以下、KDDIスマートドローン社)」もありました。 こちらのブースでは、モバイル通信を行えるドローンの情報であったり、同社が販売代理店をつとめるSkydio社製ドローンのデモ飛行の中継などが行われていました。

  yoshi

【国際ドローン展企業レポート】視界をふさがないウェアラブルデバイス『b.g.』がドローンの操縦を変える!?<Autonomyブース>

2024年7月24日から26日にかけて、東京ビッグサイトで催された展示会『国際ドローン展』。 40社・団体が出展したブースのひとつに「株式会社Autonomy(以下、Autonomy社)」もありました。 こちらのブースでは、『Surveyor‐Ⅳ』をはじめとした各種ドローンなどの展示や説明が行われていた中で、DroneGuide編集部が注目した製品のひとつがウェアラブルデバイス『b.g.』だ。

  yoshi

【国際ドローン展企業レポート】国産ドローンメーカーが国内トップシェアを目指す<Autonomy>

2024年7月24日から26日にかけて、東京ビッグサイトで催された展示会『国際ドローン展』。 40社・団体が出展したブースのひとつに「株式会社Autonomy(以下、Autonomy社)」もありました。 こちらのブースでは、1億200万画素最新式超高画質カメラを搭載できるドローン『Surveyor‐Ⅳ』をはじめとした各種ドローンなどの展示や説明が行われていた。

  yoshi

ドローンデモ飛行見学にシミュレーション体験!ドローンを研究で運用している研究室のある東京工芸大学のオープンキャンパスを見てきた!

2024年度から、ドローン関連の国家技能資格となる「一等無人航空機操縦士」「二等無人航空機操縦士」の取得を履修単位として認定した東京工芸大学。 そんな新しい取り組みを始めた同大学のオープンキャンパスが、7月13日に行われました。 ドローンへの取り組みを行っている事もあり、オープンキャンパスでは、ドローンのデモ飛行見学やドローンのシミュレーション体験、ドローンによる写真測量の解析データの閲覧などが行われました。 DroneGuideでは、このオープンキャンパスの様子を取材してきました。

  yoshi