狭小空間点検ドローン『IBIS2』の放射線照射試験をLiberaware社が実施。測定高放射線環境において集積吸収線量約300Gyでの動作を確認
株式会社Liberaware(千葉県千葉市、代表取締役 閔 弘圭)(以下、Liberaware社)は、自社で製造開発した狭小空間点検ドローン『IBIS2』の放射線照射試験を実施。 これはドローン単体としては世界初となる試験で、高放射線環境において、集積吸収線量約300Gy(グレイ)での動作を確認したことを発表した。 本試験は、経済産業省資源エネルギー庁の委託事業である「令和5年度原子力産業基盤強化事業委託費(一般産業用工業品の放射線環境下の使用指針の整備事業)」のなかで、株式会社神戸製鋼所と共に進めたものとなっている。 *Gy(グレイ)・・・「もの」が単位質量あたりに放射線から受けるエネルギー量を示す単位。吸収線量と呼称される
Liberaware社による放射線照射試験の詳細
試験内容
2台のIBIS2を対象に、プロペラを逆向きにセッティングした状態でドローンの飛行を防止しつつ、スイッチング電源を用いたDC給電しながら、約50Gy/hの照射線量率で放射線照射を実施。
照射中は、定期的にIBIS2の動作確認を行い、ドローンが破損するまで試験を継続。
①照射線量率:55.7Gy/h
②動作確認方法
照射中の監視:リアルタイム映像モニタリングと、取得ログの異常値解析
インターバル時の動作確認:ドローンにPCを接続し、各種センサーおよびカメラの動作を確認
対象センサー:距離センサー、気圧センサー、IMU(姿勢センサー)、カメラ(CCDセンサー)
試験結果
照射試験では、306Gy照射後の動作確認において、操作信号の受信エラーが確認された。
照射試験終了後のログ解析の結果、IBIS2は292Gyおよび298Gyで故障していることが判明。
一方で、故障するまでの動作確認において、カメラに一部ノイズが確認されたものの、その他のセンサーは正常に動作することが確認された。
1)集積吸収線量(照射時間)
1号機 292Gy(5.24時間)、2号機 298Gy(5.35時間)
2)センサー動作確認結果
距離センサー:4箇所(前、後、上、下)のセンサーが正常に機能
気圧センサー:温度、気圧ともに異常なし
IMU(姿勢センサー):加速度(3軸)、ジャイロ(3軸)の値が正常に変化
カメラ:照射中に放射線によるノイズが見られるも、撮影には影響なし
<今後の展望>
今回の試験で得られたデータに加えて、今回測定の対象としなかった中継器のアンテナに対する追加試験の実施等により、放射線環境下での挙動を明らかにすることを検討している。
また、放射線下でのドローン搭載センサーのさらなる精度向上に向けた取り組みも進めていく予定。
<委託調査報告書 URL>
https://www.meti.go.jp/topic/data/e90622aj.html
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出典