東北ドローン社、ドローンを活用した物資輸送の実証試験を成功。ドローンで切り開く山岳物流の新しい「あたりまえ」の提案
株式会社東北ドローン(本社:宮城県仙台市、代表取締役:桐生俊輔)(以下、東北ドローン社)は、東北電力ネットワーク株式会社岩手支社通信センター(岩手支社:岩手県盛岡市、支社長:阿部 孝昭)(以下、東北電力ネットワーク社)から依頼を受け、岩手県内の無線中継所においてドローンを活用した物資輸送の実証試験を実施。 実証試験が成功したことを報告した。
目次
ドローンを活用した物資輸送の実証試験に成功
高差は200m。ドローン搭載のセンサーで対地高度150m以内を確認しながらのフライトを実施
急こう配を登り、安全優先のため、山頂と麓の2チームでドローン物資運搬を実施した
本実証実験は、急勾配の山道での過酷な人力運搬作業を効率化し、安全性を向上させることを目的に行われた。
背景と目的
夏季の荷受け地点
東北電力ネットワーク社では、電力の安定供給に必要な専用の保安通信を確保するため、定期的に通信電源用バッテリーや燃料などの資材を人力で運搬することがある。
こうした作業には、作業者の身体的負担や運搬効率の低下といった課題が伴っていた。
これらの課題を解決するため、東北電力ネットワーク社から依頼を受けた東北ドローン社では、最新の物資輸送専用ドローン「DJI FlyCart 30」を導入し、ドローンを活用した物資輸送の実用性と安全性の実証実験を実施。
今回の取り組みを通じて効率的かつ負担の少ない輸送方法の実現に向けた可能性を探った。
秋季の荷受け地点
実証実験の概要
実施期間
2024年11月
実施場所
岩手県内無線中継所
使用機材
DJI FlyCart30(ウィンチシステム搭載)
輸送物資
無線中継所の維持に必要な資材や作業用工具類等
本実証試験では、ドローンにウィンチシステムを搭載し、着陸せずに物資の受け渡しを可能とした。
これにより、地形や環境に左右されず、効率的な物資輸送を実現した。
実証結果と今後の展望と課題について
飛行エリアや地権者など必要な許可を取得し、麓の安全な場所への輸送を実施
実証結果
・作業効率の飛躍的向上
実証試験に寄り急勾配の山道を往復する必要がなくなり、物資輸送にかかる時間と労力が大幅に削減できることが確認された。
ドローンを活用することで、従来は数時間を要した作業が30分未満に短縮され、作業者の負担を軽減することができた。
時間効率の悪い着陸をせず、ウインチを下すことによる着地、輸送を実施
・安全性の向上:人力運搬におけるリスクの低減
山岳地帯では、急勾配や不安定な地面、悪天候が作業者にとって大きなリスクとなる。
特に次のような危険が考えられる。
・転倒や滑落の危険性:山道では、岩場やぬかるんだ地面が滑落事故を引き起こすリスクが高い。
・物資の落下事故:重い物資を運搬中にバランスを崩すことで、作業者や周囲に危害が及ぶ可能性がある。
・過酷な環境での身体的負担:夏場の高温や冬場の積雪による厳しい環境が、長時間の運搬作業における疲労や熱中症のリスクを高める。
運搬が必要な物資が多い為、今回は運搬のプロフェッショナルとも連携し、地上と空から物資運搬を実施
ドローンの活用により、作業者が危険な環境で長時間作業を行う必要が減少し、安全性の向上が期待される。
特にウィンチシステムを用いた空中輸送により高密度に樹木が広がる着陸困難な場所でも、正確かつ安定した物資運搬が可能であることが今回の実証実験で社会実装可能と判断ができた。
今後の展望と課題
対地高度をリアルタイムに確認し、航空法を順守した飛行を実施した
1. 運搬作業の効率向上の確認と課題について
今回の実証では、ドローンのフライト時間が約17分であること、充電時間が約1時間必要であることを確認し、このデータを基に人力による運搬作業とドローンによる作業の効率を比較したところ短距離・中距離ではドローンの優位性が明確となった。
一方で、フライト時間の制約と充電時間の長さにより継続的な運搬作業の実施には。以下の改善策が重要であると再認識された。
・複数台のドローンを同時運用する体制の構築
・効率的な運行計画を立案するための運行管理システムの導入
・バッテリー交換式運用や急速充電技術の採用
これらの改善策を講じることで、ドローンの稼働率を向上させ、運搬作業の全体的な効率化を実現することを目指す。
また、人力作業とドローン作業の時間差を具体的に分析することで運用の有効性をより正確に示すことが可能となる。
2. 災害対応への応用
山岳地帯や災害現場における迅速な物資輸送手段として、ドローンの活用を推進する。
これにより、災害時の救援活動の効率化と支援範囲の拡大を目指す。
3. 企業向けソリューションの提供
物資輸送における効率化や安全性の向上を目指す企業に対し、ドローンを活用した輸送ソリューションを提案。
既存のドローン技術を最大限に活用し、企業の物流業務に最適化した運用計画やサービスの設計を提供する。
特に、配送ルートの最適化や複数拠点間での効率的な輸送体制や効率かつ安全な運航計画の構築を支援する。
4. サービスソリューションの拡充
物資輸送における運用ノウハウを活用し、サービスソリューションの開発を継続する。
これには、運用管理や効率的なドローンの稼働スケジュールの設計、導入サポートなど、現場運用を支える実践的な支援が含まれる。
これにより、企業がドローンを導入しやすく、持続的に活用できる環境を整える。
最大ペイロードを搭載するテストも実施したところ、非常に安定したフライトが可能だったことが確認された
山・川・海など多くの環境や場所でも物資輸送が可能となる結果となった
ーーーーーー
出典