會澤高圧コンクリート社と椿本チエイン社、産業用ドローン『AZ-250』の製造販売に関するライセンス契約を締結。2030年の商用販売開始を目指す

會澤高圧コンクリート株式会社(本社:北海道苫小牧市、代表取締役:會澤 祥弘)(以下、會澤高圧コンクリート社)は、産業用チェーンの世界トップ企業である株式会社椿本チエイン(本社:大阪府大阪市、代表取締役:木村 隆利)(以下、椿本チエイン社)と、次世代エンジン駆動型ドローン『AZ-250』の製造販売に関してライセンス契約を締結したことを発表した。

産業用ドローン『AZ-250』の製造販売に関するライセンス契約の締結

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左から會澤祥弘社長、木村隆利社長

會澤高圧コンクリート社は、グループの無人航空機開発会社のアラセ・アイザワ・アエロスパシアル合同会社(本社:静岡県浜松市、共同代表:會澤 祥弘、荒瀬 国男)(以下、AAA社)を通じて、エンジン直動型の各種産業用ドローンのプロトタイピングに取り組んでいる。
2024年12月に締結された本契約に基づき、AAA社が保有するドローン専用エンジン技術や航空制御などの知的財産を活用し、椿本チエイン社が量産タイプの『AZ-250』の製造・販売を担うこととなった。

量産機としてのプロトタイピングや耐久性試験や型式認定の取得などを経て、2030年の商用販売開始を目指している。

産業用ドローン『AZ-250』

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次世代エンジン駆動型ドローン『AZ-250』

『AZ-250』は、AAA社によって独自開発された軽量高性能エンジン技術により、カメラ等の軽量機材装備時で最大7時間、50kgのペイロード時でも1時間超の飛行を可能とした、優れた航続性能と高い積載能力を兼ね備えた産業用ドローンだ。
リチウムイオン電池の約50倍ともなるガソリン燃料の重量エネルギー密度の高さを活かしつつ、それ以前のエンジン方式ドローンにおいて課題となっていた動作振動の抑制と小型化設計を実現したことで、長時間飛行と高積載を両立。従来のドローンでは不可能だったミッションが達成可能となる。

開発の背景と會澤高圧コンクリート社におけるドローン開発の軌跡

會澤高圧コンクリート社は、最先端のドローン技術とコンクリート素材技術を融合し、機械施工を軸とする次世代のコンクリート産業を創出するため、2019年にドローンの研究開発を開始。
当初は、アメリカの航空ベンチャーとバッテリーとエンジンのハイブリッド型ドローンを開発したが、出力とエネルギーロスが課題となっていた。
そこで、高性能二輪エンジン技術を応用したエンジン駆動型ドローンの開発に舵を切り、2020年8月にAAA社を設立した。

2021年には500ccエンジン搭載の「AZ-500」を開発し、初飛行に成功。
さらに2022年には、最大積載重量150kg、最長6時間以上の飛行を可能とする1000ccエンジン搭載の超無人機「AZ-1000」を開発した。

そして、これらの開発経験を活かす形で、産業用量産機を視野に入れたコンパクトな『AZ-250』が誕生した。

AZ-250の諸元

※開発の過程で仕様は変更になる可能性あり

・機体形式
クワッド型マルチコプター

・寸法(プロペラ折りたたみ時)
H848xL2,205xW1,990mm(H8484xL1,174xW973mm)

・空虚重量(最大離陸重量)
60Kg (115Kg)

・積載量+燃料重量
55kg以下

・航続時間(積載時)
7時間(無積載)
1時間(積載量50Kg時)

・燃料タンク容量
30L

・プロペラ
可変ピッチ式 直径1,220mmx4

『AZ-250』に使用されるエンジン『國男250』について

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無人機専用エンジン『國男250』と開発者の荒瀬国男氏

高性能二輪用エンジン技術を応用して無人機専用に開発した小型・軽量・低燃費の『AZ-250』用ガソリンエンジン。
冷却システムに真油冷方式を採用しているため暖気性能に優れ、緊急発進時はエンジン始動直後に離陸が可能となっている。
寒冷時の冷え過ぎを防止し、高温環境下でも高い冷却性能を備えているため、雪山や砂漠などあらゆる環境下でも活躍できる全天候型エンジンだ。

世界一を目指すニッポン男児の気概を示すため、エンジン開発者由来の『國男250』と命名された。

無人機専用エンジン『國男250』諸元

・エンジン形式
油冷・4サイクル・単気筒・SOHC

・最高出力
20kW (27PS)

・排気量
249cc

・燃料供給装置
電子制御フェルインジェクションシステム

・特徴
2軸1次バランサーによる低振動

2030年の商用販売開始へ

本契約をベースに、會澤高圧コンクリート社並びにAAA社のエンジンドローン開発技術と椿本チエイン社の精密機械製造技術を融合させ、AZ-250の社会実装への加速を狙う3者。
會澤高圧コンクリート社およびAAA社では航空制御を含むより高性能・高信頼性の技術研究開発の継続を、椿本チエイン社は高品質な製造ラインの構築や販売ネットワークの整備を行い、外部パートナーとの連携も活用することで、エンジンドローン市場の開拓を進めていくとしている。

今後の展望

會澤高圧コンクリート社と椿本チエイン社は、『AZ-250』を、防災・災害対応、建設・インフラ管理、測量、物流、警備など、幅広い産業分野で活用することを目指すとしている。
特に『AZ-250』の長時間飛行、高積載、広範囲な運用能力を活かし、以下の分野での活用に期待を寄せている。

防災・災害対応
被災地の監視、救援物資の運搬、一時的な通信基地局機能

建設・インフラ管理
高所点検、資材運搬、安全管理強化

測量
長時間・広域測量、遠隔地対応

物流
離島・山間地への物資輸送、緊急配送

警備
広域監視、施設警備、巡回監視

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空中積層技術の開発実験装置

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フライング3D プリンター(F3DP)イメージ

一方、會澤高圧コンクリート社およびAAA社では、『AZ-250』の開発に加え、コンクリート産業の機械施工を目指す技術革新にも取り組んでいる。
超無人機「AZ-1000」の高積載・長時間飛行技術を応用し、ドローンによるコンクリートの空中積層技術「フライング3Dプリンター(F3DP)」の開発を進めているとのことだ。

このF3DPは<空飛ぶコンクリートプリンター>として大型エンジンドローンを活用するという構想で、現行の定置式ロボットアームによるコンクリート積層に比べて大規模な構造物の建設に適用することが可能になる。
これらの開発プロジェクトから生まれる高度な航空制御技術なども応用し、両社は、量産機としての『AZ-250』の市場投入に向けて密に連携していくと発表されている。

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出典

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