経済産業省、ドローン航路の仕様・規格、ガイドライン、全国線整備地図を策定。ドローン航路システムのソースコードを公開

経済産業省及び独立行政法人情報処理推進機構デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(以下、IPA DADC)は、先行地域において実装されたドローン航路の全国展開に向け、ドローン航路の仕様・規格、ガイドライン及び全国線整備地図を策定した。 また、仕様・規格に定めるドローン航路システムがオープンソースソフトウェアとして民間向けに開放された。

<「デジタルライフライン全国総合整備計画」について

経済産業省では、人口減少が進む中でもデジタルによる恩恵を全国津々浦々に行き渡らせるため、自動運転やドローン物流等のデジタル技術を活用したサービスについて、「実証から実装へ」「点から線や面へ」の移行を加速する必要があるとしている。

このため、経済産業大臣の下で、関係省庁が一丸となり、既存の取組を踏まえつつ、デジタルを活用したサービス提供に必要なハード・ソフト・ルールといったデジタルライフラインのアーキテクチャや仕様の具体化、自治体や運営主体を含む官民の役割分担、長期にわたり全国規模で講じる取組等を定めるため、昨年6月に「デジタルライフライン全国総合整備計画」を決定した。

ワーキンググループの開催

デジタルライフラインを全国に社会実装すべく、サービスの実装や仕様・運用方法等の策定の状況から示唆される課題を踏まえ、官民で目指すべきデジタルライフラインの整備、活用目標及び必要なアクションを位置づけた「ロードマップ」、事業者・地方自治体がデジタルライフラインを整備・活用する上で参照すべき「ガイドライン」の決定を行う「第2期デジタルライフライン全国総合整備実現会議」(以下、第2期実現会議)が設置された。

「ドローン航路普及戦略ワーキンググループ」(以下、WG)は、ドローン航路の全国展開に向けて、ドローン航路の仕様・運用方法等の策定及び、先行地域(秩父エリア・浜松市)におけるサービス実装の状況を踏まえた課題整理を行うため、第2期実現会議に設置され、2024年11月から2025年5月まで全2回開催された。

このWGは、ドローンの社会実装を推進する各分野(物流、河川巡視・点検、送電設備巡視・点検等)の事業者や、運航管理サービス事業者、ドローン分野の有識者及び業界団体等で構成され、ドローン航路の仕様・運用方法、全国展開に向けた方針と課題(オペレーション、ガバナンス、ビジネスモデル、通信環境、国際戦略)についての議論が実施された。

ガイドライン及び仕様・規格の概要

経済産業省及びIPA DADCは、5月15日に開催された第2回WGを踏まえ、ドローン航路サービスの品質確保、飛行許可・承認申請の事前手続き簡略化に係る適合性評価の基準明確化、相互運用性の確保によるドローン航路全国展開の推進を目的に、「ドローン航路運営者向けドローン航路導入ガイドライン」「運航事業者向けドローン航路運航ガイドライン」の、2種類のガイドライン及び附属書を規範文書として策定した。

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ドローン航路の仕様・規格(例示)

ドローン航路システム(オープンソースソフトウェア)の公開

経済産業省及びIPA DADCは、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/デジタルライフラインの先行実装に資する基盤に関する研究開発」の成果を活用し、ドローン航路運営者に向けて、ドローン航路ガイドライン及び仕様・規格書に定められる「ドローン航路システム」に求められる機能を参照実装したオープンソースソフトウェア(以下、OSS)をGitHubにて公開している。

ドローン航路システムGitHubリポジトリ
https://github.com/ODS-IS-UASL

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ドローン航路システムの運用(例示)

ドローン航路整備地図の公開

ドローン航路の全国展開は、「デジタルライフライン全国総合整備計画」に基づき、推進される。政府が推進し、民間の航路運営者により整備される全国線のドローン航路の全国展開の方針については、あわせて公開された「ドローン航路整備地図」で明確化された。

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ドローン航路整備地図

今後の進め方

6月15日まで、各ガイドラインについてIPA DADCホームページにてパブリックコメントの実施を予定。
パブリックコメント反映版は6月下旬を目途に同ホームページ上で公開予定となっている。

パブリックコメント
https://www.ipa.go.jp/digital/architecture/guidelines/uaslines-guidelines.html

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出典

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