テラドローン社、アンゴラ共和国の沖合にてドローンを活用したFPSOの原油貯蔵タンク点検を実施

Terra Drone株式会社(本社:東京都渋谷区、代表:徳重 徹)(以下、テラドローン社)が、アンゴラ共和国の総合エネルギー企業 Azule Energy(本社:アンゴラ共和国、代表:アドリアーノ・モンギーニ)(以下、アズール・エナジー社)が運用する同国沖合のFPSO(Floating Production, Storage and Offloading system:浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)において、ドローンによる原油貯蔵タンクの非破壊検査を実施。 本検査は、オランダに拠点を置くテラドローン社の子会社 Terra Inspectioneeringを通じて実施しており、自社開発のUTドローン『Terra UTドローン』が活用された。

背景と目的

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FPSOでは、原油・ガスを安定的かつ継続的に生産するため、定期的な保守点検・検査が欠かせない。
一方、船上では限られた人員体制で、生産作業と並行して検査作業を実施する必要があり、安全かつ効率的に検査を行う手段が必要とされている。

従来は、作業員が高所や閉鎖空間に立ち入る必要があり、労働安全上の観点において業界全体で共通の課題があった。
また、点検時には設備の稼働を一時的に完全停止する必要があり、生産性を低下させてしまうことも課題とされていた。

こうした課題にアプローチするため、テラドローン社は『Terra UTドローン』を活用し、従来の人手による作業をドローンに置き換え、検査を実施。
1基のタンクを点検するために必要な乗船者数を従来比でおよそ8割削減し、作業効率および生産性の向上を実現。
さらに、点検期間も約半分に短縮し、設備の稼働停止時間を最小限に抑えることにも成功したとのことだ。

実施内容

テラドローン社は、アンゴラ沖合に設置されたFPSOにおいて、『Terra UTドローン』を活用した船体内部の目視点検および超音波による板厚計測を実施した。

①目視点検

まずはじめに、『Terra UT ドローン』に搭載した高解像度カメラによる目視点検を行い、表面や構造を近距離で視覚的に検査。
ドローンに搭載した拡大鏡や内視鏡を活用し、タンク内部の表面に亀裂や腐食などの欠陥がないかどうかを検査した。

②超音波による板厚計測

次に、目視点検で確認された欠陥箇所を中心に板厚計測を実施。
『Terra UTドローン』に搭載された超音波センサーから発せられる音波の反射波を解析し、鉄製タンクの内壁の腐食状況や浸食の状況を検出した。
超音波点検は、原油貯蔵タンクの内壁の固着した不純物や油分を測定前にブラシで清掃し、測定面を平滑に整備する。
超音波の伝播を助ける検査用ジェルを塗布し、センサーをタンク内壁に接触させて測定を行う。

同様の作業を複数箇所で繰り返すことで、広範囲にわたる内壁の状態を把握することが可能となっている
目視点検と異なり、正確にセンサーをタンク内壁に複数回接触させる必要があるため、ドローンによる点検難易度が高いとされている。

なお、今回の検査では、作業員の訓練および測定機器のいずれにおいても、国際的な安全・品質基準であるABSクラス認定を満たした体制で充当しているとのことだ。

今後の展望

近年、世界各地の地政学的リスクや空路物流の制限により海上輸送の重要性が高まっており、それに伴って造船需要が拡大している。
エネルギー輸送の要である世界のFPSOの市場規模も増加傾向にあるとのことで、これらの設備に対する点検・保守の重要性は一層高まっている。

テラドローン社は2019年より『Terra UTドローン』の提供を開始し、目視点検および超音波による板厚計測を強みにFPSOの原油貯蔵タンク検査をはじめ、造船業界における点検事業を展開。
現在、造船業界におけるテラドローン社の先駆的な取り組みは高い評価を得ている。

テラドローン社は、2027年夏までアズール・エナジー社との連携を継続し、同社が運用するFPSOの原油貯蔵タンクや各種設備の点検を担当。
本事業に中長期で携わることにより、テラドローン社は、FPSOの運用における安全性の向上、省人化、生産効率の最大化に寄与することが可能となる。

テラドローン社は、海洋エネルギー分野における持続可能な運用体制の確立を視野に、本事業で得られるノウハウを汎用的に活用し、ドローン技術の活用拡大を推進していくという。

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出典

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