
Liberaware社、秋田市にて『IBIS2』を活用した「下水道管路の全国特別重点調査」を実施。一度の飛行で300mの調査に成功
株式会社Liberaware(本社:千葉県千葉市、代表取締役:閔弘圭)(以下、Liberaware社)が、株式会社ONE・AQITA(本社:秋田県秋田市、代表取締役:佐々木寿一)(以下、ONE・AQITA社)と共同で『IBIS2』を活用した「全国特別重点調査」を2025年7月23日に秋田市内の下水道管で実施した。
目次
実施の背景
下水道管に『IBIS2』を進入させる様子
国土交通省によると、2023年度末における全国の下水道管渠の総延長は約50万kmにおよび、標準耐用年数である50年を経過した管渠の延長は総延長の約7%にあたる約4万kmとされており、20年後には約42%の約21万kmまで増加すると言われている。
2025年1月には埼玉県八潮市で下水道管路の破損に起因すると考えられる道路陥没事故が発生し、当該事案を受けて国土交通省が7都府県13ヵ所の流域下水道管理者に緊急点検を要請するなど、老朽化した下水道管に関する点検体制の構築が急務となっている。
秋田県においては、令和7年3月7日に男鹿市脇本樽沢地内で発生した工事事故を受け、「秋田県下水道管路補修工事での事故を踏まえた安全対策検討委員会」が設置された。委員会での議論が重ねられる中で、人が立ち入ることが困難なエリアにおける点検方法の確立が課題として浮上している。
こうした背景を踏まえ、本調査では、点検困難な下水道管の状態を確認するとともに、空中ドローンによる点検手法がこうした課題に有効かどうかを併せて検証することとなった。
調査における各者の関係について
『IBIS2』で撮影した下水道管内の様子
秋田市 – 下水道管点検における課題面の提示
ONE・AQITA社 – 点検プロセスの構築、現場対応、及び調査提案
Liberaware社 – ドローンの開発・製造・現場支援・ドローンオペレーター援助
今回の調査について
下水道管に『IBIS2』を進入させる様子
今回の調査は、秋田市内の下水道管のうち敷設後約50年が経過した秋田市の開口部約2.7m×1.8mの下水道管(約50m)と、開口部約2.7m×2.7mの秋田県流域流下水道管渠(約400m)を対象に実施された。
管内水位が1m弱の、人が進入できない流域の管内上部における腐食状況やクラック(ひび割れ)の有無を中心に、『IBIS2』を飛行して映し出された動画を基に下水道管の健全度の確認が進められた。
流域流下水道管渠の調査では、海岸のボックスカルバートから『IBIS2』を進入させることで内部の調査を進め、全体のうち約300mは、1度の飛行で調査を終えることに成功。
従来の調査では下水道管において目視による確認は、足場の設置等が必要となり時間と費用を要するほか、危険が伴うが、今回のように『IBIS2』による下水道管の調査が可能になったことで、効率的かつ安全に調査することが可能であると実証された。
今後の展望
ボックスカルバートに電波中継器を接近させている様子
今回の調査のように、Liberaware社製の『IBIS』が複数の現場で活用されることで、着実に実績を積み重ねている。
本活用事例は、下水道インフラ点検における『IBIS』の標準的活用モデルの確立に直結するものと考えており、国や自治体における老朽化したインフラ維持管理が喫緊の課題となる中、安全性・効率性・コスト削減を同時に実現できる『IBIS』の運用標準化は当該課題の解決に加え、国土強靭化に資する新技術としての役割を果たすものと考えられる。
今後、重点調査における多数の活用事例が蓄積されることで、『IBIS』の運用フローや点検精度、データの再現性が評価され、下水道調査におけるドローン活用のガイドライン整備や制度化へとつながることが期待される。これにより、『IBIS』は全国的なインフラ点検市場における標準機材としての地位を確立していきたいという考えをLiberaware社は発信している。
また。この流れを確実な成長機会ととらえ、ハードウェア・ソフトウェア両面での継続的な改良と、パートナー自治体・事業者との連携強化を図っていくとしている。
———
出典