エアロセンス社、VTOL型ドローン『エアロボウイング』によるレベル3.5飛行を実施

国産産業用ドローンの自社開発とクラウドサービスを通じてさまざまなソリューションを提供するエアロセンス株式会社(所在地:東京都北区、代表取締役社長:佐部浩太郎)(以下、エアロセンス社)は、2024年12月25日に経済産業省を中心に政府関係省庁が一体的に推進する「デジタルライフライン全国総合整備計画」の取り組みの一環であるドローン航路整備の実証実験において、飛行機タイプのレベル3.5飛行をエアロセンス社の垂直離着陸型固定翼ドローン『エアロボウイング』を用いて実施した。

VTOL型ドローン『エアロボウイング』のレベル3.5飛行を実施

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エアロセンス社の調べによると、国内初の試みとなったVTOL型ドローンによるレベル3.5飛行。

なお、今回のカテゴリーⅡ飛行における機体は第二種機体認証を取得しており、操縦者は二等無人航空機操縦者技能証明を保有しているため、レベル3.5飛行における事前承認不要の運航となった。
DIPS2.0での飛行計画通報及び、有人機との干渉を避けるためにNOTAM(航空機の飛行経路の管制管理システム)による通知は実施。

実証の背景

人口減少が進む中デジタルによる恩恵を全国津々浦々に行き渡らせるため、約10年の「デジタルライフライン全国総合整備計画」を策定している経済産業省。
本計画は、デジタル完結の原則に則り、官民で集中的に大規模な投資を行い、共通の仕様と規格に準拠したハード・ソフト・ルールのデジタルライフラインを整備することで、自動運転やAIのイノベーションを社会実装し、人手不足などの社会課題を解決してデジタルとリアルが融合した地域生活圏の形成を目指している。

デジタルライフライン全国総合整備計画では、アーリーハーベストプロジェクトのひとつとしてドローン航路が位置付けられている。
約10年で全国の送電線上空に約4万km、一級河川上空に約1万km、計5万kmの整備が計画されている。
ドローン航路は、「ドローン運航のための社会的理解の醸成が進んだ範囲であり、地上及び上空の制約要因に基づいて立体的に最外縁が画定された運航環境において、航路運航支援及び航路リソース共有を実現するもの」である。
従来、ドローンの飛行の際には、運航会社がそれぞれ飛行ルートの計画や各種調整、リスクアセスメント等を個別に行い、周知や情報共有をしていた。

しかし、ドローン航路の整備により、運航会社が個別に行なっていた飛行ルートの事前調査や周辺関係者との調整、リスクアセスメントにかかる手間や費用が協調領域として集約されることで、運航会社の時間とコストを大幅に削減できる効果が期待されている。

実証の目的

「デジタルライフライン全国総合整備計画」の一環として、ドローン航路を活用しドローンによる巡視・点検や配送等の普及を後押しすることを目的に、この度実証実験を行った。
なお、当実証実験はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構)が実施している「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業」において株式会社トラジェクトリーが実施し、エアロセンス社がHMK Nexus株式会社と共にドローンの運航を担った。

実証実験の実施概要と飛行ルート

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飛行ルート(Google EarthはGoogle Inc.の商標または登録商標である)

当実証実験は、薬局がない阿多古地区の病院で診察を受けた患者に発行された処方箋を二俣地区の薬局に送信し、近隣の調剤薬局で処方された医薬品をドローンで迅速に運搬することを想定し行われた。
医薬品を積んだエアロボウイングが浜松市天竜壬生ホール(上記図A)を離陸し天竜川沿いを北上後、約11kmの距離を飛行し、目的地の下阿多古ふれあいセンター(上記図B)に到着。
無事患者に医薬品を配送し当実証実験の成功を期に、ドローン航路整備の検討を進める有益な機会となった。

エアロセンス社では、代表取締役社長の佐部氏が2024年12月に無人航空機の種類のうち飛行機に対応した無人航空機操縦者技能証明(二等)を取得したことで、飛行機モードでのレベル3.5飛行が可能となっている。
また、この技能証明と2024年6月にVTOL型ドローン『エアロボウイング(AS-VT01K)』が取得した第二種機体認証とを合わせることで、飛行許可・承認が不要となっている。

今回の運用は、飛行機タイプとしては初のレベル3.5飛行となっており、事前の許可・承認手続きをせずに実施が行えた。
エアロセンス社では、今後もVTOL型ドローンの活用を切り開き、社会実装を進めていくとしている。

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出典

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