
東庄町、IDAと3回にわたり行われた「ドローンを活用した物流実証実験」についての成果を報告
「もし災害が発生し、道路が寸断されたとき——その時、物資はどう届けるのか?あるいは、移動が困難な高齢者が買い物に行けなくなったとき、どうすれば支援できるのか?」 千葉県東庄町では、こうした課題に対する解決策の一つとして、IDA(一般社団法人国際ドローン協会)と連携してドローンを活用した物流実証実験を3回にわたり実施。 この実証実験を経て、ドローンによる物資輸送の可能性が明らかになったと成果の報告をした。
目次
第1回目実証実験「弁当の運搬」
弁当の運搬は汁漏れを起こさず完了
2024年12月に実施した第1回目の実証実験では、「食料品の配送」を目的に、ドローンを使用した弁当の運搬が実施された。
東庄町ドローンパークから東庄町スポーツ広場までの約6.1kmの距離の配送に成功した。
第1回目実証実験の成果
1回目の実証実験での成果は以下の通り。
ドローンによる食料品配送の実用性を確認
ドローンが安定した飛行で指定の目的地まで弁当を輸送し、物資配送の新たな可能性が示された。
飛行ルートと環境の検証
実験では、風や気温などの影響を受けながらも、正確にルートを飛行できることが確認された。
防災力向上への期待
災害時に道路が寸断された場合でも、ドローンが物資を供給できる可能性が高まった。
地域の方と町イメージキャラクター「コジュリン」くんとドローン
この成果をもとに、第2回第3回の実証実験ではより具体的な物資輸送を検証が行われた。
第1回目実証実験の詳細について
第1回実証実験の詳細な内容・成果については、下記記事を参照。
第2回目実証実験「災害時を想定した物資輸送」
医療機関への輸送
2025年2月上旬に実施した第2回目の実証実験では、「災害時を想定した物資輸送」をテーマに、緊急時の迅速な物資供給について検証が行われた。
東庄町役場を拠点に、東庄町国民健康保険東庄病院および社会福祉法人さざんか会北総育成園へ物資を輸送が実施された。
第2回目実証実験の成果
福祉施設への輸送
1回目の実証実験での成果を、東庄町では以下のようにまとめている。
災害時の物資輸送手段としての有効性を確認
道路が寸断された状況等を想定し、発電機とガソリンを安全に届けることに成功。
ウインチを活用した狭小スペースでの荷下ろしの実証
建物周辺に十分な荷下ろしスペースが確保できないケースを想定し、ウインチによる荷下ろしを実施。
これにより、避難所や医療機関などスペースが限られる場所でも、安全に物資を降ろせることが確認された。
リアルタイム監視システムの活用
飛行中のドローンの位置や状況をリアルタイムでモニタリングし、安全な飛行を確保。
これにより、緊急時の輸送状況を正確に把握し、適切な判断ができる体制が整った。
この実験を通じて、災害時におけるドローンを活用の実用性がさらに高まった。
ガソリンを輸送
第2回目実証実験の詳細について
第1回実証実験の詳細な内容・成果については、下記記事を参照。
第3回目実証実験「買い物弱者支援のための物流実験」
千葉薬品と共同で実施した実証実験
2025年2月中旬に実施した第3回目の実証実験では、「買い物弱者支援のための物流実験」として、ドラッグストア(ヤックスドラッグ東庄店)から個人宅へ日用品を配送し、日常生活の利便性向上に向けた検証が行われた。
第3回目実証実験の成果
「買い物弱者支援のための物流実験」として行われた3回目の実証実験の成果については、以下のようにまとめられている。
日用品のドローン配送モデルを構築
高齢者や移動が困難な住民の支援を目的とし、トイレットペーパーや飲料水、食品などの生活必需品をドローンで個人宅まで配送。
無事に着荷されたことが確認された。
配送スピードの検証
出発から数分で物資が届けられることが確認され、従来の配送手段と比べて迅速な供給が可能であることが分かった。
受取人からは「思った以上に多くの品が届いて驚いた」「将来的に車を運転できなくなっても安心できる」との声が寄せられた。
鉄道上空飛行の安全性を確認
従来、飛行が困難であった鉄道上空をドローンが安全に飛行し、短時間での輸送を実現。
これにより、今後の物流ルートの選択肢が広がることになった。
民家敷地内への直接輸送
なお、東庄町と株式会社千葉薬品の包括連携協定の締結については下記を参照。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000131865.html
この実験を通じて、災害時のみならず、日常的な買い物支援にもドローンが有効な手段となる可能性が示された。
3回行われた実証実験についての総括
ドローンは、もはや未来の技術ではなく、私たちの生活を支える現実的な手段となりつつある。
今回の実証実験で得られた知見を活かし、今後東庄町は、より実用的な運用体制の構築を目指すとしている。
「ドローンが支えるまち」 として、東庄町は新たな一歩を踏み出したことを報告した。
なお、東庄町とIDAによる「災害時等におけるドローンを活用した支援活動等に関する覚書」の締結については、下記記事を参照のこと。
ーーーーーー
出典