Liberaware社、香港のAlpha AI社と業務提携に関する覚書を締結。香港のインフラ老朽化対策として日本のドローンと香港のAIが融合

株式会社Liberaware(千葉県千葉市、代表取締役 閔 弘圭)(以下、Liberaware社)は、海外市場への事業拡大および収益基盤の多角化を推進するため、香港を拠点とするAI・ドローン分野の有力スタートアップ企業、Alpha AI Technology Limited(所在地:香港、代表者:Desmond Ho)(以下Alpha AI社)との間で包括的な業務提携に関する覚書(MoU)を締結したことを発表した。

Liberaware社とAlpha AI社とのMoU締結について

イメージ画像

今回締結されたMOUにより、Liberaware社が培ってきた屋内狭小空間での精緻な点検技術と、Alpha AI社が香港市場で展開するAIを活用した屋外インフラ点検技術を融合させ、インフラ設備の安全性と維持管理の効率性を大幅に向上させる統合型ソリューションの共同開発を進めていくとのことだ。
また、上記を通じて、香港市場での新たな事業機会を創出し、アジア地域全体への展開を視野に入れた協業体制を構築する。

本提携の背景と目的

香港では、建物の老朽化が深刻な課題となっている。
香港特別行政区政府によると、築50年を超える建築物は全体の約2割を占め、2030年には約14,000棟に達すると予測されているとのことだ。

これに対応するため、香港政府は築30年以上の建物に対して点検を義務付ける「Mandatory Building Inspection Scheme(直訳:強制建物検査制度)」を実施している。

また、香港政府は2024年より、ドローンを活用した「低空経済」の推進に注力している。
ドローンによるインフラ点検や輸送、監視の普及が進んでいる。

Alpha AI社は、「低空経済サンドボックス」の認定企業として実績を積み重ねながら、香港政府と強固な連携を構築し、独自開発のAI技術と3D技術を活用したドローンによる建物・インフラの外壁点検、斜面の異常検知、警備巡回などのサービスを提供している。
一方、Liberaware社は、狭小空間点検ドローン『IBIS2』の開発・製造・販売をはじめ、デジタルツイン技術や各種ソリューション提供についての知見がある。
また、インフラ点検・維持管理におけるDXの取り組みは、2023年に国土交通省の「インフラDX大賞」にも選出されている。

この提携により、日本市場において屋内狭小空間の点検技術で豊富な実績を持つLiberaware社のノウハウと、香港市場で評価を得ているAlpha AI社の屋外インフラ点検技術を融合。
建物内外の包括的管理が可能な統合インフラ保守ソリューションの開発を進め、香港におけるインフラの安全性向上と維持管理効率化を図っていく。

主な提携内容

イメージ画像
2025年3月20日に香港で行われた、低空経済サンドボックスのローンチイベントにて、Alpha AI社 Desmond CEO(写真左から2番目)が李家超香港特別行政区行政長官(写真中央)にIBIS2を説明している様子

今回の業務提携では、以下のような取り組みを共同で進めていくことが発表されている。

日本と香港の両市場における事業機会の共同探索
2社の営業・技術ネットワークを活用。
香港政府が主導するインフラ保全事業への共同参画および提案活動や、両社技術の組み合わせによる実証実験および実地テストの共同実施。
また、新規プロジェクトの創出と市場参入を検討する。

IBIS2を活用した屋内外を統合したインフラ点検ソリューションの共同開発・提供
Alpha AI社の点検とLiberaware社のIBIS2を活用した屋内狭小空間点検を組み合わせた点検・データ取得ソリューションの包括的サービスの開発と社会実装を推進する。

人材育成および技術者交流プログラムの実施
両社間のエンジニアや、技術者の相互派遣、共同トレーニングプログラムを実施。
Alpha AI社のAI解析技術をLiberaware社の屋内点検データに応用し、新たな価値を創出する。

今後の展開

本提携に基づき、両社は香港において、屋内外を対象としたドローン点検の実証実験を共同で実施。
点検によって収集したデータをもとに3Dモデリングを構築し、インフラ設備の状況を詳細に可視化していく。

さらに、AI技術を活用した劣化状況や異常箇所を検知する、自動検知機能の導入を進めるとしている。
そして、これらの機能を空間情報と統合し、デジタルツインとして提供することで、インフラ維持管理の効率化と精度向上を目指すとのことだ。

また、行政関連施設の点検を積極的に実施し、点検ソリューションの有効性を実証することで、政府が推進するインフラ設備の義務点検における標準化規格への採用を目指す。
短期的には香港市場での成功事例の創出を図り、中長期的にはそのノウハウを、日本を含むアジア各地域への展開に活かしていく。

なお、本提携の業績に与える影響は軽微だが、中長期的には両社の技術連携や市場開拓を通じて相互の業績向上に寄与することが期待されているともしている。

ーーーーーー

出典

関連記事

東京電機大学理工学部、AO入試で評価の対象となる「体験型プログラム」を6月15日のオープンキャンパスにて開催

東京電機大学理工学部では、2025年6月15日に行われるオープンキャンパスにて、高校3年生を対象とした「体験型プログラム」を開催。 体験型プログラムでは、各テーマの実験実習を通じて学系の学びを理解するとともに、各自のテーマの探究を深めることで、体験を通じて学んだことを理工学部のAO入試での発表に活かすことができるようになっているという。 一例としては、「建築・都市環境学系」のドローン/Lidar→3D都市モデル→都市解析という3D都市解析があげられる。 今回のオープンキャンパスでは、理工学部の「理学系」「機械工学系」「電子情報工学系」「建築・都市環境学系」の4学系で実施されることが発表されている。

  tera

レッドクリフ社、最新技術となる屋内ドローンショー『FYLo EDU-JP』の映像を公開

株式会社レッドクリフ(本社:東京都港区、代表取締役:佐々木 孔明)(以下、レッドクリフ社)は、屋内ドローンショー専用機体『FYLo EDU-JP』を用いたショーを千葉県内にて開催。 今回、その時の様子をおさめた映像がYouTubeに公開された。

  Fuji

日本ドローン機構、令和5年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」に採択。ベトナムにてグローバル供給拠点の確立調査を実施

日本ドローン機構株式会社(本社:東京都港区)(以下、日本ドローン機構)は、経済産業省が主管する令和5年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」に採択されたことを報告した。

  tera

全国新スマート物流推進協議会、ドローンなどの先端技術と地域の共助を組み合わせて地域物流の未来を拓く『コミュニティ配送』提言書を策定

全国新スマート物流推進協議会(東京都渋谷区、会長:竹中貢 北海道上士幌町長)(以下、本協議会)は、過疎化やドライバー不足により地域のラストワンマイル配送が困難となっている現状を踏まえ、ドローンなどの先端技術と地域の共助を組み合わせた新しい配送モデル『コミュニティ配送』の実現に向けた提言書を策定。 平将明デジタル行財政改革担当大臣に手交し、具体的にコミュニティ配送の実現に向けた制度的課題を提示。 全課題地域に適用可能にするために、規制改革要望を提出した。

  tera

JUIDA×東急コミュニティー社×ハミングバード社の3社が連携して、『ドローン点検スペシャリスト』資格を創設。マンション点検の即戦力育成を進める

一般社団法人日本UAS産業振興協議会(本部:東京都文京区、理事長:鈴木 真二)(以下、JUIDA)、株式会社東急コミュニティー(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:木村 昌平)(以下、東急コミュニティー社)、株式会社ハミングバード(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:鈴木 伸彦)(ハミングバード社)の3社は、2025年6月にドローンの社会実装を見据えた新しい資格として、マンション点検・調査におけるドローンの安全飛行技能を有する操縦者の育成を目的とした資格、『ドローン点検スペシャリスト』を共同で創設することを発表した。 その第一弾として『ドローン点検スペシャリスト』<マンション外壁編>が始動したとのことだ。

  tera