エアロセンス社、ペイロード10kg搭載時、最長120kmの飛行が可能な新型・災害救助用VTOL型無人航空機の試作機が完成

自社開発の国産産業用ドローンの開発とクラウドサービスを提供するエアロセンス株式会社(所在地︓東京都北区、代表取締役社長︓佐部浩太郎)(以下、エアロセンス社)は、開発を進めてきた新型 災害救助用のVTOL(垂直離着陸型固定翼)型無人航空機『AS-H1』の試作機が完成したことを発表した。

試作機の完成について

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VTOL(垂直離着陸型固定翼)型無人航空機『AS-H1』

VTOL(垂直離着陸型固定翼)型無人航空機『AS-H1』は、内閣府主導のもと創設され、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が推進する、経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)の研究開発構想(プロジェクト型)「災害・緊急時等に活用可能な小型無人機を含めた運航安全管理技術」に、エアロセンス社が2023年に採択されて以降開発を進めてきた試作機である。

特長

新型・災害救助用のVTOL型ドローンの最大の特徴としてペイロード13kg、最長250km(10kgのペイロード積載状態で最長120km)飛行できる。
耐風と防水性能も強化し、横風20m/sの雨天時の悪天候でも安定した飛行が可能。
安全性能も向上させ、機体の前方に搭載したレーダーが障害物を検知し、衝突を回避する機能も備えているため、研究開発の目標である災害・緊急時等での活用条件を満たしている。

なお、JSTでは今後大型VTOLを災害救助用の物資輸送等を行う機体として有人機と連携し運用が開始される予定となっている。

今後の展望

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プロペラやシステムの多重化により安全性が向上。万一のトラブル発生時でも安全な飛行が可能。

エアロセンス社は大型化の機体の特徴を生かし、より高精度な測量や撮影、過疎地や島しょ間の物流などにも活用を想定している。
さらに、同機によるレベル4飛行の運用を目指し、6月2日には国土交通省に第一種型式認証の申請をしており、現在審査中となっている。

さらに、当機を活用し撮影データ等を顧客に提供する役務業務の機会獲得の活動が開始され、機体販売の予約も6月から開始される。
他にもエアロセンス社はパートナー企業を募り、共同での機体の改良や運用も行われる予定である。
同機体は現行機のエアロボウイングに加えハイエンド機体としてエアロセンス社のラインアップに追加され、海外への事業展開を見据えた活用や販売も予定とのことだ。

エアロセンス社が2020年に初代エアロボウイングの展開を開始以来、長距離広範囲飛行の特性を生かした測量、警備・監視、道路、河川、砂防等のインフラ点検、災害や農業支援などさまざまな実績を重ね社会実装を進めてきた中、同機を導入することでさらなる市場の拡大を目指すとしている。

AS-H1の主な仕様

機体名称
AS-H1

外形寸法
3.9×2.7×1.0 m
(全幅x全長x全高)

機体重量(バッテリー含む)
57kg

最高速度
120km/h(34m/s)

巡航速度
80km/h(22m/s)

バッテリー
15S3P‐32400mAh x 4(BMS対応)

飛行時間
1.5時間 @飛行高度1000m ※ペイロード10kg搭載時
3.4時間 @飛行高度100m ※ペイロードなし

飛行距離
120km @飛行高度1000m ※ペイロード10kg搭載時
250km @飛行高度100m ※ペイロードなし

最大搭載可能重量
13kg

防塵・防水
IP45

耐風性能

●巡航時 固定翼モード | 20m/s
●離着陸時、固定翼への遷移時、マルチコプターモード、向かい風、横風 | 20m/s
●追い風 | 13m/s

離発着場所要求
10m x 10m

使用温度範囲
-20~45℃(バッテリー含まず)

安全性向上機能
前方安全確認(可視カメラ、赤外線カメラ、250mレーダー)
下方安全確認(可視カメラ、100mレーダー)
BLDCモーター x 10(MC用 x 8, FW用 x 2)
電池4並列化
フライトコントローラー2系統化
対気速度センサー 2機搭載
パラシュート搭載(検討中)

付帯機能
夜間飛行
長距離無線通信システム

型式認証
第一種型式認証審査中

生産国
日本

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出典

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