農薬散布ドローンの資格取得にかかる費用はどのくらい?メリット・デメリットも紹介
農薬散布をするために、ドローンの資格免許の取得を考えている方もいるでしょう。 本記事では、農業散布用のドローンの資格取得にかかる費用と日数、資格取得までの流れ、メリットとデメリットなどについて紹介します。 さらに、農業散布をドローンで行う場合の注意点や開始に必要な許可・届出についても詳しく解説していきます。
目次
農薬散布用の「農業ドローン」とは?
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農業ドローンとは、農地の空撮やモニタリング、害獣対策、農薬や肥料の散布などに用いられるドローンのことを指します。
なかでも農薬散布用のドローンは、遠隔で散布作業を行えるので作業の負担を大幅に軽減できることが期待できるドローンとなっています。
この農薬散布用ドローンを活用すると、労働時間が短縮されたり、農業散布に割かれていた人員の確保や費用が減らせると近年注目を集めています。
スマート農業の中でも比較的実施しやすい農業ドローンの取り組みですが、農薬散布用には資格取得と国の認可も必要です。
そんな農薬散布用ドローンにまつわる資格・免許に必要な費用と日数、メリット・デメリットなどを紹介します。
農業ドローンに資格(免許)は必要?
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農業ドローンには、資格取得(認定)が必要なものと、そうでないものが存在します。
下記でそれぞれについて解説していきます。
農業ドローンに資格が必要な要素
農業ドローンを使用するに際して、特別な認定が必要なのは農薬散布の作業を行う場合のみです。
また、購入を希望する機体によって、異なる技能認定を受ける必要があります。
農水協認定機の場合は「農林水産航空協会の技能認定」、DJI・クボタの農業用ドローンの場合は「農業ドローン技能認定証明証」が必要となります。
ただし、農薬散布には、農林水産省の許可が必要となります。
事前の承認申請を忘れていた場合、技能認定があっても農薬散布をすることはできません。
農薬散布用の農業ドローンの資格費用と日数はどのくらい?
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農薬散布用に農業ドローンを使用したい場合は、「産業用マルチローター技能認定」の講習を受けて認定資格証を取得する必要があります。
ここでは、その認定を受けるために必要な費用や日数についてみていきましょう。
農薬散布用ドローンの資格(免許)に必要な費用目安
認定を受けるにあたって必要な費用は、15〜35万円とコースやスクールによって幅があります。
安易に一番安いコースを選んでしまうと、必要な知識を網羅できない可能性もありますので、申し込みの際に相談の問い合わせをするのもいいでしょう。
農薬散布用ドローンの資格(免許)に必要な日数
農薬散布用ドローンの講習は、未経験の場合は最短で5日間。
無人ヘリコプター操縦経験者であれば、2~3日間と短期で取得が可能です。
農薬散布用ドローンの資格はどこで受けられる?
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農薬散布用ドローンの技能認定講習は、UTC農業ドローン協議会や農林水産航空協会で認定を受けた都道府県ごとの教習施設で受けることができます。
講習では農薬取締法や航空法などの座学と、技能講習、点検の仕方などを学びます。
実際にドローンを動かすとき、不具合があっては飛行させることはできません。
教習施設はできるだけメンテナンスサポートやアフターフォローが充実しているところを選ぶようにしましょう。
農薬散布用ドローンの資格取得から実施までの流れ
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産業用マルチローター技能認定の講習は以下のような流れです。
- 講習申し込み
- 認定教習施設にて講習(2~5日間)
- 「産業用マルチローター技能認定証」を取得
- ドローン飛行許可証取得
- 機体を購入・機体登録を行う
- 国土交通省・都道府県協議会に書類提出
- 近隣施設に事前周知
- 農薬散布開始
農薬の空中散布には国の認可が必要
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農薬の空中散布には、国土交通省・農林水産省・(都道府県)に書類を提出し、許可を得る必要があります。
ここでは、提出書類について詳しく解説していきます。
国土交通省
国土交通省へは、必ず散布予定日の10開庁日前までに申請を行います。
現在は、DIPSというオンライン申請のシステムもあります。
また、教習施設を運営するメーカーであれば、承認申請を代行してくれることもあるので講習を申し込む際にはよく確認しましょう。
提出する書類は以下の3つです。
- ドローンの機体の機能・性能
- 操縦者の飛行経歴・知識・技能
- 空中散布に係る安全確保体制(飛行マニュアルなど)
参考:農薬等の空中散布を行う際の手続き・留意事項について(PDF)
参考:農薬散布用のドローンを使用する際には、どんな許認可や届出が必要ですか?
農林水産省
農林水産省は、無人マルチローターによる農薬の空中散布に係る安全ガイドラインに基づいた3つの提出書類があります。
ヘリコプターを使用する場合は、この3つ全てを提出しますがドローンの場合は計画書と実績報告書の提出義務はありません。
- 空中散布計画書
- 空中散布実績報告書
- 事故報告書
参考:農林水産省「無人航空機による農薬等の空中散布に関する情報」
都道府県
農薬散布用のドローンを使い始めるにあたって必要な書類は、国土交通省での申請と農林水産省の事故報告書だけですが、都道府県や自治体でも独自のガイドラインが存在する場合があります。
「〇〇(都道府県・自治体名) 農薬散布ドローン 計画書」などと、検索して調べてみましょう。
農薬散布用ドローンのメリット・デメリット
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次に農薬散布用ドローンを使用するメリット、デメリットをそれぞれ紹介します。
実際に導入する際の参考にしてみてください。
メリット①:時間と労力の軽減
ドローンを導入する一番のメリットは作業負担の軽減にあります。
農薬散布用の噴霧器は、リュックサックのように肩に背負うタイプのものや、トラックの荷台に乗せて長く伸ばしたノズルから噴射するものなどさまざまなタイプがあります。
それらは多くの時間を要しますし、肩こりや腰痛など身体的負担も大きいです。
ドローンは、従来の噴霧器での散布に比べ大幅な時間短縮と身体の負担軽減が見込めます。
メリット②:少人数(1人~)散布できる
農業散布用のドローンを使用すれば、それまで2~3人で行っていた散布作業を1人で行うことが可能になります。
作業効率が上がり人員も削減できるので、他の作業を集中して行うことができます。
メリット③:補助金・助成金が出る場合もある
農薬散布用のドローンを購入から運用するまでには少なくとも100万円単位のお金が必要です。
その負担額を軽減させるため、国が補助金や助成金制度を設けています。
農林水産省では「産地生産基盤パワーアップ事業」の一環として、ドローンの機体購入価格上限2分の1まで援助してくれる制度があります。
デメリット①:運用までにコストがかかる
農薬散布用ドローンのデメリットの一つとして、イニシャルコストがかかるという点が挙げられます。
機体の価格は100〜300万円くらいまでのものが多いです。
維持費や修理費のことも考え、機体価格+年間数十万円は多く見積もっておきましょう。
デメリット②:申請・許可が必要
前述したように、ドローンで農薬を空中散布させるためには国土交通省と農林水産省の認可が必要です。
また、それぞれのホームページにあるガイドラインに沿った飛行方法で操縦させるなど、細かな規定があることは忘れないようにしましょう。
デメリット③:天候や風向きに左右される
実際にドローンを使って農薬散布を行う場合に懸念されるのが、ドリフト問題です。
ドリフトとは、空気の流れによって本来農薬を散布させるべきではない場所に薬品が飛散してしまうことを指します。
このように空からの散布は、風の強い日や風向きによっても飛行を中止せざるを得ない場合があります。
参考:
ドローンによる農薬散布とは?メリット・デメリットや料金相場について徹底解説!
農業用ドローンとは?メリット・デメリットや価格についても解説
農薬散布ドローンの導入に補助金は使える?できる限り自己負担を減らす方法
ドローン農薬散布5つのデメリット!圃場の救世主が示す未来とは?
農薬散布用ドローンからスマート農業をはじめよう!
出典:pixta.jp
本記事では、農薬散布用ドローンの認定資格について、かかる費用とメリット・デメリットなどを紹介しました。
農薬散布に必要な産業用マルチローター技能認定は、導入までにコストがかかるなどデメリットもありますが、人員確保や労力の大幅な軽減に役立つでしょう。