Liberaware社、千葉大学から森林内飛行及び放射線量測定ドローンの開発を再委託。森林等の困難環境下におけるドローン活用範囲の拡大と災害時の対応力向上を目指す
株式会社Liberaware(千葉県千葉市、代表取締役 閔 弘圭以下)(以下、Liberaware社)は、福島国際研究教育機構(略称:F-REI)が公募し、国立大学法人千葉大学(千葉県千葉市、学長:横手幸太郎)が受託した、令和5年度「困難環境下でのロボット・ドローンの活用促進に向けた研究開発」の委託事業を、昨年に引き続き再委託したことを発表した。
目次
「困難環境下でのロボット・ドローンの活用促進に向けた研究開発」について
左:航空写真(国土地理院 2010年時)、右:Liberaware SfMデータ(2024年)
本事業は、千葉大学を中心に、放射線計測の専門機関である公益財団法人日本分析センター(千葉県千葉市)を加えたコンソーシアムが進めている研究開発業務において、ドローン開発の業務を再委託として当社が受託し実施している。
福島国際研究教育機構においては、複合災害に見舞われた福島および東北での経験をもとに、今後生じることが懸念されるさまざまな災害による困難環境下におけるロボット・ドローンの活用範囲拡大を図り、また、多数のロボット・ドローンによる協調作業を実現する技術の研究開発を行うことにより、災害時の対応力の向上を目指している。
さらに、水中や山中などの自然環境下において、人的な安全性を担保した状況での各種調査を実施する手段としてのロボット・ドローンの実用化にも取り組んでいる。
そのような背景の中で、当該事業及び当該実施課題では、森林などの自然環境において、安全で正確、かつ省コストにて調査を行うことを想定したロボット・ドローンに必要となる技術の研究開発を行っている。
さらに、樹木の育成状態の分布を森林内で調査しマッピングするなどの技術、及び当該調査を安価に実現する技術について研究開発を実施している。
研究開発事業基本情報
事業名
令和5年度「困難環境下でのロボット・ドローン活用促進に向けた研究開発事業」
(3)湖沼、森林内などでの調査に対応するロボット・ドローンの研究開発
実施課題①
3次元データによる樹木解析
概要
・ニューラルネットワークによる解析技術を、3次元データから幹形状を計測する技術に適用する
・ドローンに搭載できるレーザ技術を用い、森林内環境下でデータ取得を実施し、安定的なデータ取得に必要な飛行の改善点を明らかにする。
・ドローンによって取得できた森林内3次元データを用いて樹木位置図を作成する。
実施課題②
森林内を飛行するドローンの開発
概要
・実施課題①に必要なドローン開発のため、試作機、改良機を用いて実験する。
・現地実証においては、飛行安定性、森林内移動性、ホバリングの安定性に関するデータを取得し、森林内飛行技術の完成に寄与する。
実施課題③
ドローンによる空間線量計測
概要
・小型空間線量計をドローンに搭載する方法を開発
・これまで人による森林内の空間線量をドローンによっても計測できることを実証する。
フェーズ1の結果と今後の展望
実施課題①
樹木をレーザで計測する手法とドローンで計測する手法を実施し、レーザでの計測の方が優位であることを確認。
今後は、レーザでの計測の優位性の実証を行うため、飛行時の振動やノイズを加味したうえでの評価を行う予定となっている。
実施課題②
レーダと気流を用いた障害物検知手法の開発にあたり、ミリ波レーダを搭載したドローンによる、低照度環境下での飛行試験を実施により、障害物検知ならびに精度0.1mでの飛行を実現。
また、気流センサを搭載したドローンによる、壁面付近での飛行実験を実施により、気流変化による気流感覚技術の開発可能性の検討を行われた。
今後は、センサフュージョンを行いた森林内での安定した飛行の実現、ならびに最適なセンサ配置の検討等を行い、気流感覚技術の開発を行っていくとしている。
実施課題③
ドローンに搭載して森林内の空間線量を精度よく測定するための放射線量計を製作できたことで、詳細な空間線量分布マップを作成できる見通しを立てることができた。
今後は、更なる小型軽量化やドローンへの搭載方法等の検証、及び各種マップ作成やデータの同期方法などオペレーション周りの向上を目指していく。
取り組みを通して
自社の成長戦略における新たなデバイス開発の一環として行っているLiberaware社。
この委託事業においては、実施課題で用いるドローンの開発に取り組んでいる。
森林を中心とした困難環境下におけるドローンの活用性を広げることで、人が立ち入れないエリアや人が立ち入ることが危険なエリアをドローンが代替することで、安全かつ省人化した未来の実現を目指している。
また、その先には森林環境の調査をドローンで実現し、カーボンクレジット売買用データの収集を可能にすることで、脱炭素社会実現の一助になることも期待しているともしている
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出典