岩手県岩泉町で、ドローンを組み込んだ新スマート物流の体制構築に向けた共同配送の実証実験を実施。岩泉町における地域課題の解決を目指す

岩手県(知事:達増 拓也)と、岩泉町(町長:中居 健一)、株式会社エアロネクスト(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO:田路 圭輔)(以下、エアロネクスト社)、株式会社NEXT DELIVERY(本社:山梨県小菅村、代表取締役:田路 圭輔)(以下、NEXT DELIVERY社)、セイノーホールディングス株式会社(本社:岐阜県大垣市、代表取締役社長:田口 義隆)(以下、セイノーHD社)、岩泉ホールディングス株式会社(本社: 岩手県下閉伊郡岩泉町、代表取締役社長: 山下 欽也)(以下、岩泉ホールディングス社)、岩泉自動車運輸株式会社(本社:岩手県下閉伊郡岩泉町、代表取締役社長:八重樫 義一郎)(以下、岩泉自動車運輸社)の7者は、2025年1月9日に、岩泉町において「令和6年度岩手県岩泉町における地域課題の解決に貢献する新スマート物流の体制構築に向けた実証実験」を実施した。

実証実験概要

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物流専用ドローン『AirTruck』に岩泉ヨーグルトや日本酒を入れた専用箱を搭載(旧安家小学校)

NEXT DELIVERY社と 岩泉町に本社を構える岩泉ホールディングス社、岩泉自動車運輸社が連携して、セイノーHD社とエアロネクスト社が開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流『SkyHub®』の社会実装の検討に向けて行われた今回の実証実験。
その詳細については、以下の通り。

背景と目的

令和6年1月末現在、総人口が8,013人となる岩泉町。
面積は99.23haと本州一の広さのこの町は、狭隘な山間地に基幹地区(昭和31年の6町村合併前の旧村中心部)と小規模集落が点在しており、食料品アクセス困難人口の割合が2015年時点では県内で唯一40%を超えており、全国的に見ても非常に高い水準(全国平均24.6%)となっている。

町の中心部である岩泉地区から主な基幹地区のうち、安家地区(人口412人、235世帯)までは急勾配が続き、有芸地区(人口155人、89世帯)までは狭隘な道になっている。
こうした状況から、買い物等の日常サービスの利用に不便が生じているということが課題となっている。

このような背景から、共同配送や買い物弱者対策による日常生活の利便性の確保、岩手県産業の生産性向上等に資する陸送×空送のハイブリッド輸送を検討され、持続可能な活力ある地域の実現を目指して、地域住民の理解度向上に資する実証実験が実施された。

実施内容

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荷物を置き配して飛び去る物流専用ドローン”AirTruck”(松ケ沢公民館)

ドローンや共同配送管理システムなどのデジタル技術を活用した買い物弱者対策による日常生活の利便性の確保、岩手県産業の生産性向上等に資する取組を検討するとともに、社会実装モデルの体制構築に向けた実証実験を行い、買い物に関する課題と災害時の物資輸送に関する課題の解決に繋がるドローン配送の社会実装に向けた検証が行われた。

NEXT DELIVERY社が運航するエアロネクスト社が開発した物流専用ドローン『AirTruck』に搭載された岩泉ホールディングス社の「岩泉ヨーグルト」と岩泉自動車運輸の宅配荷物(実証実験用)。
混載されたこの荷物が、旧安家小学校から松ケ沢公民館まで、片道約4.2㎞を約10分でドローン配送された。
なお、残りの荷物については、陸送で配送場所まで届けられた。

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安家地区の事業者へのドローン配送で岩泉自動車運輸と連携

ドローン配送で岩泉ヨーグルトや日本酒を受け取った人からは、「2016年の台風10号の時には半月ほど市街地と行き来ができないときがあった。こういうサービスがあると助かると思う」といったコメントがされている。
なお、今後も地域住民への理解促進及び地域課題の解決へ向けて、ドローンをはじめとする次世代高度技術を活用していくことで、ドローン配送と陸上配送を融合した新スマート物流『SkyHub®』の社会実装に向けた検討が進められる予定と発表されている。

今回行われた本実証実験は「令和6年度岩手県中山間地域におけるスマート物流等の社会実装に向けた運用体制整備・実証実験等業務」として採択されたものである。

新スマート物流『SkyHub®︎』

エアロネクスト社とセイノーHD社が共同で開発し展開する、既存の陸上輸送とドローン物流を繋ぎこみ、地上と空のインフラが接続されることで、いつでもどこでもモノが届くという新スマート物流の仕組み。

ドローン配送が組み込まれたオープンかつ標準化したプラットフォームで、ドローンデポ®︎を拠点に、車とドローンを配送手段とすることで、「SkyHub®︎TMS」をベースに、「SkyHub®︎Delivery(買物代行)」「SkyHub®︎Eats(フードデリバリー)」「SkyHub®Medical(医薬品配送)」といった異なる物流会社の荷物を一括して配送する共同配送など、地域の課題やニーズに合わせたサービスを展開、提供する。

この『SkyHub®︎』の導入は、無人化や無在庫化を促進し、ラストワンマイルの配送効率の改善という物流面でのメリットだけでなく、新たな物流インフラの導入でもある。
物流2024年問題に直面する物流業界において、物流改革という側面から人口減少・少子高齢化による労働者不足・特定過疎地の交通問題・医療問題・災害対策・物流弱者対策等、地域における社会課題の解決に貢献するとともに、住民の利便性や生活クオリティの向上による住民やコミュニティの満足度を引き上げることが可能になり、地域活性化を推進するうえでも有意義なものといえる。

*物流専用ドローン「AirTruck」
エアロネクスト社とACSL社と共同開発した日本発の量産型物流専用ドローンとなる「AirTruck」。
エアロネクスト独自の機体構造設計技術4D GRAVITY®により安定飛行が実現している。

荷物を機体の理想重心付近に最適配置し、荷物水平と上入れ下置きの機構で、物流に最適なユーザビリティ、一方向前進特化・長距離飛行に必要な空力特性を備えた物流用途に特化し開発した「より速く より遠く より安定した」物流専用機である。
日本では、各地の実証地域や実証実験での飛行実績をもち、海外ではモンゴルで標高1,300m、外気温-15℃という環境下における飛行実績もある(2023年11月)。
最大飛行距離20km、ペイロード(最大可搬重量)5kg。

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出典

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