ドローンの飛行レベル3.5新設の背景とその内容とは
ドローンには安全な運航のために飛行させる環境によって「飛行レベル」が定められており、飛行を制御するための規制が存在しています。しかし民間の事業としてドローンの活用を行う際に、飛行レベルがネックとなって事業への活用が滞っている状況です。本記事ではドローンの民間での活用に向けた飛行レベル3.5新設の背景や内容、実際の取り組みについて解説します。ドローン業界や事業に興味がある方にとって、今後知っておくべき内容なのでぜひ参考にしてみてください。
目次
ドローンのレベル3.5飛行ができた背景とは
民間での活用に支障をきたしていたレベル3飛行の規制を緩和して、ドローンを無人地帯での物資の輸送に役立てるのが目的です。新しい物資輸送手段として確立し、運送業界の人手不足問題を解決することも期待されています。
ドローンのレベル3飛行の内容
無人地帯における操縦者の目視外を飛行するための規制で、飛行のために設定した立入管理区画に、移動車両を含む第三者が立ち入らないための以下の対策が必要です。
- 設定した立入管理区画には、立看板やポスターなどの設置
- そのうち、第三者が区画に立ち入る可能性が排除できない場所(道路、鉄道、家屋、航路、漁船が航行する海域など)については、追加の立入管理方法(※)が必要
※補助者の配置により第三者の立ち入りがないタイミングを操縦士へ連絡することや、一時的に道路の交通を制限する (通行止め等)など
規制が物資輸送の際のネックになる理由
レベル3飛行の規制内容が輸送の実施にどのように影響されているのかを以下にまとめました。
- 飛行するエリアに第三者を入れないため、補助者や看板を設置する手間
- 道路や線路の上空を横断する際に、その都度一時停止を行わなくてはならない
運用するためのコストがかかりすぎるため、現実的に実施しにくいという状況でした。
新設されたドローンのレベル3.5飛行の内容
ドローンのレベル3.5飛行は従来の「立入管理措置を撤廃」し、以下の新たな規制内容が定められました。
- 操縦ライセンスの保有
- 保険への加入
- 機上カメラによる歩行者等の有無の確認
操縦する際の第三者を入れさせないための措置や道路や線路の一時停止の手間がなくなったため、ドローンの物資輸送が現実的なものになった。
実際に行われたレベル3.5飛行の取り組み
実際にレベル3.5飛行のルールのもとに物資輸送が行われました。
株式会社NEXT DELIVERYは2023年12月11日に、日本初となる「レベル3.5」でのドローン配送事業を北海道の上士幌町で実施しました。(※)
飛行内容はNEXT DELIVERY本社がある山梨県小菅村のリモートパイロットが、遠隔運航してフードのデリバリーを行うというものです。
レベル3.5飛行の新制度に合わせて飛行許可・承認申請のDX化(システム改修)が行われ、2024年度内には許可・申請が1日で完了できる予定とされています。
ドローンのレベル3.5飛行の実現による社会問題の解決に期待
ドローンのレベル3.5飛行が実現したことにより、ドローンの活用による運送業界の人手不足の解消や、過疎化した地域における円滑な物資の供給が期待されています。現状では国の事業として橋梁等の定期点検や災害が起きた地域の調査に利用されており、今後は民間での活用が推進されていく流れです。これから盛り上がっていくことが期待されるドローン業界に興味がある方は、本記事をきっかけにして、さらにドローンについて理解を深めてみてください。