ドローン事業に補助金・助成金制度はおすすめ?導入ポイントを解説

ドローンを使った事業を行う際は、補助金や助成金制度などの利用を検討する方もいることでしょう。本記事では、ドローン事業での補助金・助成金制度の導入ポイントを解説!事業に合ったおすすめの制度についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

ドローンの補助金・助成金制度を利用するメリット

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ドローン事業には、機体の調達や維持費、保険料、マーケティング費用、人件費などコストがかかります。事業内容によっては、膨大な資金が必要になるかもしれません。

 

もしドローン事業で資金不足に陥る可能性がある場合は、補助金・助成金制度を利用するのがおすすめ!補助金・助成金制度を利用することで、ドローン事業にかかる費用を抑えられます。

ドローン事業における補助金・助成金の違いとは?

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補助金と助成金と聞くと、どちらも資金援助のイメージを持たれる方がいることでしょう。確かに両方とも資金援助の特性を持っていますが、仕組みは異なります。

 

まず補助金とは、国や地方公共団体、民間団体などから支給される支援金のこと。開発や事業再構築、Go-Tech事業など特定の事業を実施する際に、一定の要件を満たしていれば補助金が受けられます。

 

補助金は資金を返済する必要がないのがメリットですが、条件を満たしていないと審査に通過するのは難しいです。さらに採択件数や支給総額に限りがあるケースがあるため、要件を満たしていたとしても希望通りの支給金額を受け取れるとは限りません。

 

一方助成金は、国や自治体が事業者に対して支給してくれる資金のこと!自己負担分を含めた費用全額を助成してくれるため、支給額に上限がないのがメリットです。また条件を満たしていれば基本的にすべての事業者に支給されるので、気軽に利用しやすい制度といえるでしょう。

 

ドローン事業でのおすすめの補助金・助成金制度

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ドローン事業には、利用できる補助金・助成金制度がいくつもあります。具体的にどのような制度が利用可能なのか1つずつ見ていきましょう。

1. ものづくり補助金

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ものづくり補助金とは、新商品の開発や生産プロセスの改善などの経営革新に必要な設備投資を支援する補助金のことです。日本国内に事業の実施場所がある中小企業が対象となっており、約750万円〜5,000万円の間で補助が受けられます(※)。

 

個人事業主でも利用可能であるため、小規模で経営革新につながるドローン事業を実施したい方にもおすすめです。

 

ただし、ものづくり補助金を受けるためには、各枠ごとに設けられた各条件を満たさなければなりません。たとえ1つだけ条件を満たしていたとしても採択されないので、すべての条件を満たすようにしましょう。

 

補助金の枠 750万~5,000万円

補助率1/2もしくは2/3 

※補助上限額や補助率は、申請される枠・類型や従業員の人数によって異なる

補助金の条件 ・付加価値額を年率平均3%以上増加

・給与支給総額を年率平均1.5%以上増加

・事業場内最低賃金≧地域別最低賃金+30円以上の水準

申請に必要な書類 ・事業計画書

・補助経費に関する誓約書

・賃金引上げの誓約書

・決算書等

・従業員数の確認資料

・労働者名簿(応募申請時の従業員情報)

・「再生事業者」に係る確認書(再生事業者のみ)

・課税所得の状況を示す確定申告書類(回復型賃上げ・雇用拡大枠のみ)

・炭素生産性向上計画及び

温室効果ガス排出削減の取組状況(グリーン枠のみ)

・大幅な賃上げ計画書(大幅な賃上げに係る補助上限額引上の特例のみ)

・海外事業の準備状況を示す書類(グローバル市場開拓枠のみ)

・その他加点に必要な資料(任意)

おすすめのシーン ・ドローン本体および専用ソフトウェアの購入

・ドローンの試作品開発

・ドローンを活用したサービス開発のための設備導入

・ドローン関連部品・システムなどの開発設備の導入

 

※“ものづくり補助事業 公式HP”参照

 

ものづくり補助金制度を利用してみる

 

2. 成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業) 

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成⻑型中⼩企業等研究開発⽀援事業は、企業が大学や公設試などと連携して研究開発・試作品開発などを支援する事業のことです。

 

精密加工、表面処理、立体造形等のものづくり基盤技術またはサービスの高度化を目的としており、ドローン事業でも活用できます。

 

成⻑型中⼩企業等研究開発⽀援事業は、大学・公設試など「研究機関」との連携が必須となっているので、申請する際は注意しましょう。

 

補助金の枠 単年度あたり4,500万円以下

2年間合計で7,500万円以下3年間合計で9,750万円以下

補助金の条件 ・大学・公設試などを含む共同体の構築

・高度化指針を踏まえた研究開発

・補助事業期間終了後5年以内に事業化達成する計画

申請に必要な書類 公募要領をチェック
おすすめのシーン ・ドローンを活用した研究開発や試作品開発など

 

成長型中小企業等研究開発支援事業の詳細はこちら

 

3. 事業再構築補助金

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事業再構築補助金とは、中小企業が新たな事業を実施する際に経済産業省が支援する補助金制度です。

 

新分野展開や事業転換、業種転換、業態転換、事業再編などさまざまなシーンで活用されており、ドローンを使った事業にもおすすめ!具体的にはドローン関連部品開発やドローンバッテリーの開発などが該当します。

 

事業再構築補助金で注意するポイントは、成長枠やグリーン枠、卒業促進枠など複数の枠が設けられており、枠ごとに条件が異なることです。また人数によっても補助が受けられる金額が異なるので、申請に間違いがないよう事前に概要をチェックしましょう。

 

補助金の枠 100万円〜7,000万円(成長枠の場合)

※従業員数によって補助金の額が変わる

補助金の条件 【成長枠】

・事業計画について認定経営革新等支援機関や金融機関の確認を受けること。

・補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる)以上増加の達成。

・事業終了時点で、事業場内最低賃金+45円、給与支給総額+6%を達成すること

申請に必要な書類 【必須書類】

・事業計画書

・認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書

・コロナ以前に比べて売上高が減少したことを示す書類

・決算書

・ミラサポplus「活動レポート(ローカルベンチマーク)」の事業財務情報

・労働者名簿の写し

【任意書類】

・売上減少書類※売上30%以上減少

・固定費証明書

・協力金受給証明書

・EBPMチェック

おすすめのシーン ・航空機部品の精密加工技術を活かした、ドローン関連部品開発分野への進出

・ドローンバッテリーの開発用の生産設備の導入

 

事業再構築補助金の詳細はこちら

4. 地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業

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地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業は、「人材の獲得・育成・定着」を行う取組みを支援する制度!地方公共団体や金融機関、教育機関などと連携し、地域で抱えている課題解決に向けた活動で制度が活用できます。

 

ドローン事業でも活用することができ、物流事業や災害などのビジネス事業の構築におすすめです。

 

補助金の枠 【通常枠】

・補助対象事業1件につき700 万円

<中小・中堅企業等、地域金融機関>

補助対象経費の2分の1

<大企業(地域金融機関を除

く)>

補助対象経費の3分の1

【地域企業共同戦略枠】

・補助対象事業1件につき、1,000 万円

補助金の条件 公募要領をチェック
申請に必要な書類 公募要領をチェック
おすすめのシーン 物流事業や災害などのビジネス事業の構築

 

地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業の詳細はこちら

 

5. スマート保安導入支援事業

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スマート保安導入支援事業とは、IotやAI、ドローンなどを活用してインフラ産業のスマート化を図る事業のことです。ドローンでも活用することができ、プラント内の点検実験や送電線や建物などの高所作業での点検実証などのシーンに利用できます。

 

ただし、技術開発・実証事業に関する補助金となっており、それ以外の事業には利用できないので注意しましょう。

 

補助金の枠 補助上限額は5,000万円以下

補助対象経費(税抜)の内、2/3(中小企業、地方公共団体(公営水力))、又は1/2(中堅企業)が補助対象

補助金の条件 補助対象事業者に該当する企業で、以下のような事業を行っていることが条件

・保安力の向上と現場作業の省力化・無人化など

・補助事業期間中に、必要な技術・機器・システムなどの開発および評価・検証の完了

・補助事業終了後に、他の事業者や事業所に実装・展開する計画

・補助事業の成果・効果などに関する調査依頼の対応

・AIを活用する場合「プラント保安分野AI信頼性評価ガイドライン」を活用して、AIの信頼性評価の実施

申請に必要な書類 公募要領をチェック
おすすめのシーン ・プラント内の点検実験や送電線

・建物などの高所作業での点検実証

 

スマート保安導入支援事業の詳細はこちら

 

6. 小規模事業者持続化補助金

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小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自社の経営見直しに伴い、販路開拓や生産性向上につながる取り組みを行う際に利用できる補助金制度のこと!ドローンでの空撮や点検作業などのシーンに適用することができ、約50〜200万円の間で補助が受けられます。

 

少人数の事業者が対象となっているので、申請する際は従業員数に問題がないか注意しましょう。

 

補助金の枠 補助上限額は50万円~200万円
補助金の条件 ・従業員数5人以下の商業・サービス業、従業員数20人以下の宿泊業・娯楽業・製造業その他が対象※いずれも常時使用する人数

・資本金もしくは出資金が5億円以上の法人に、直接・間接的に100%株式保有されていない

・直近過去3年の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていない

・持続化補助金の補助事業を実施した場合、各事業の交付規程で定める報告書の提出を本補助金の申請までに行っている

・卒業枠で採択され事業を実施した事業者ではない

申請に必要な書類 ・小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(様式1)[原本]

※電子申請の場合は不要

・経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)[原本] 

・補助事業計画書②(様式3)[原本] 

・事業支援計画書(様式4)[原本]

・補助金交付申請書(様式5)[原本]

※郵送による申請の場合は必要

・宣誓、同意書(様式6)[原本] 

・電子媒体(様式1、様式2、様式3、様式5、様式6、(様式7、様式8、様式9))

※郵送による申請の場合は必要

・貸借対照表および損益計算書(直近1期分)[写し](法人のみ)

・株主名簿[写し] ※該当者のみ(法人)

・直近の確定申告書【第一表及び第二表及び収支内訳書(1・2面)または所得税、青色申告決算書(1~4面)】(税務署受付印のあるもの)または開業届(税務署受付印のあるもの)[写し](個人)

・貸借対照表および活動計算書(直近1期分)[写し](NPO)

・現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書(申請書の提出日から3か月

以内の日付のもの)[原本](NPO)

・法人税確定申告書(別表一 (受付印のある用紙)および別表四(所得の簡易計算))(直近1期分)[写し](NPO)

・その他:希望する申請者のみ追加の書類が必要

おすすめのシーン ドローンでの空撮や点検作業など

 

小規模事業者持続化補助金の詳細はこちら

7. IT導入補助金

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IT導入補助金は、事業でITツールを導入する際に受けられる補助金です。ドローンも対象に入っており、ドローン活用に必要なソフトウェアの購入・契約などの費用で活用できます。

 

ただし、ドローンの機体購入費にはIT導入補助金の使用は難しいので、申請時は注意してください。

 

補助金の枠 最大350万円
補助金の条件 ・事務局に登録されたドローン関連のソフトウェアのみ対象

・交付申請時点で、日本国内で法人登記され、日本国内で事業を営む法人または個人である

・交付申請の直近月において、申請者が営む事業場内の最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上である

・その他の補助金などと重複する事業を含んでいない など

申請に必要な書類 公募要領をチェック
おすすめのシーン ドローン活用に必要なソフトウェアの購入・契約

 

8. 人材開発支援助成金

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人材開発支援助成金は、正社員の育成に取り組む事業者に対して、研修費用や研修中の賃金の一部を助成してくれる制度のことです。ドローン事業でも人材開発支援助成金の制度を利用することができ、ドローン資格取得のシーンで活用されます。

 

人材開発支援助成金は、特定訓練コースと一般訓練コースの2種類があるのがポイント!それぞれ異なるプログラムとなっているので、事前に確認しましょう。

 

人材開発支援助成金の詳細はこちら

 

ドローン事業での補助金・助成金制度を導入する際の注意点

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ものづくり補助金や事業再構築補助金など、ドローン事業に活用できる制度は豊富にあります。しかし申請する際は注意しなければならないポイントがあり、事前に把握しなければなりません。

支援を受けるまでに時間がかかる

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ドローン事業での補助金・助成金制度では、申請してからすぐに支援金が受けられるとは限りません。補助事業の完了や導入効果の確認などさまざまなステップを踏まなければならないため、交付されるまでに時間がかかります。

 

長くて約1〜2年かかるケースもあるので、申請から交付を受けるまでのスケジュールを逆算し事業に必要な資金を用意することが重要です。

申請条件が厳しく通過が難しい

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ドローン事業での補助金・助成金制度で頭を抱えるのが、申請条件が厳しく通過が難しいところです。とくに補助金制度は受給を受けるためにはすべての条件を満たさなければならないため、1つでも申請に漏れが生じれば審査落ちしてしまいます。

 

少しでも申請を通過させるためには、事前に条件内容を把握しすべて満たすことが重要です。

報告書の提出が必要な場合もある

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制度によっては、報告書の提出が義務化されている場合もあります。報告書の内容に不備があったり、提出し忘れてしまったりすると、支給が受けられなくなるリスクがあるので注意が必要です。

 

対象の制度を利用する際は、一定期間内に報告書の提出が必要かどうかチェックしましょう。

会計検査院の調査が入る時がある

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ドローン事業にかかわらず補助金・助成金を利用する際は、会計検査院の調査が入る時があります。受け取った補助金や助成金などが適切に使われているのかどうか細かくチェックされるので、いつでも調査が入っても大丈夫なように普段から事務処理をしましょう。

 

ドローン事業の補助金・助成金制度を利用してみよう

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本記事では、ドローン事業での補助金・助成金制度の導入ポイントを解説しました。補助金・助成金制度は事業での資金不足をカバーできるのがメリットです。ただし申請を通過させるためには条件が設けられているため、制度を利用するにあたって準備を整える必要があります。これからドローン事業での補助金・助成金制度の利用を検討している方は、ぜひ本記事を参考に準備を進めてみてください。

 

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