コア社がデジタルライフライン総合整備計画に基づく、みちびき対応ドローンの実証を実施

株式会社コア(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長執行役員:横山浩二)(以下、コア社)は、秩父市でのドローン航路実装に向けた機能評価として、準天頂衛星システム「みちびき」CLAS対応ドローン『ChronoSky PF2-AE』を活用した位置補正技術の検証を行った。

秩父市で行われたドローン航路実装に向けた技術検証

イメージ画像

経済産業省は、人口減少が進む中で、平時・有事を問わず全国で持続的にデジタルライフラインを整備することを目的とし、2024年6月に「デジタルライフライン全国総合整備計画」を策定。
この計画の一環として、ドローン航路の実装が進められている。

ドローン航路とは、ドローン運航に対する社会的理解が進んだ地域において、地上及び上空の制約要因を考慮して立体的に定められた飛行航路のこと。
これらの航路を効率的に活用し、ドローンを安全に運航するためには、ドローンの位置情報を1m以下の精度で確保することが求められている。
この高精度な位置測位を実現する手段の一つとして、準天頂衛星「みちびき」の測位補強サービスの活用が期待される。

日本電気株式会社は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/デジタルライフラインの先行実装に資する基盤に関する研究開発」を受託し、埼玉県秩父市でのドローン航路実装に向けて技術検証を実施。
検証の中で、コア社は「みちびき」から配信されるセンチメータ級測位サービスCLASによる測位精度の検証について支援を行った。

検証の成果

ドローン航路の効率的かつ安全な運航には、事前に決めた航路上をいかに逸脱せずに正確に飛行できるかが重要となっており、絶対座標を取得できる高精度なGNSS技術の役割が不可欠となる。
CLAS対応ドローン『ChronoSky PF2-AE』を使用した今回の検証では、事前に設定した飛行航路に対して想定通りに自動飛行が可能であること、高精度な位置情報を取得できることが確認された。

実施内容

本検証では、CLAS対応GNSS受信機を搭載したドローン『ChoronoSky PF2-AE』を使用。
CLAS測位がドローン航路運用における衛星測位誤差低減の有効な手段であるか、が評価された。

検証では、秩父市大滝総合支所から道の駅大滝温泉までの河川上空を飛行ルートとして設定し、自動航行を敢行。
また、安全性を考慮し、離発着施設付近では高度を徐々に変化させて河川上空航路に侵入することで、有事の際のドローン落下リスク範囲を最小限に抑えるルート設定が行われた。

イメージ画像
飛行ルートの全景

使用機体:ChronoSky PF2-AE

イメージ画像

CLAS対応GNSS受信機を内蔵したドローン。
災害時などの通信インフラが使用できない環境においてもドローン単独で高精度な自律飛行が可能。

衛星測位誤差を低減できる手段として期待される「みちびき」CLASの高精度な位置情報を確保できる。

評価結果

飛行中のドローンにおける衛生測位誤差を評価した結果、後処理RTKで算出した真値と比較して水平方向0.1m、垂直方向0.2mの範囲に収まり、1m以下の精度を確保できていることが確認された。
また、ドローンの機体制御・ルート設定が影響する飛行計画ルートとの誤差については、概ね2m以内の誤差で飛行できていることが確認が取れた。

一方で、GNSS単独測位の場合、再現性のない大きな誤差が発生することが判明した。

イメージ画像
飛行計画に対する飛行位置ずれ(水平方向) 青:RTK、橙:CLAS、灰:単独測位

イメージ画像
飛行計画に対する飛行位置ずれ(垂直方向) 青:RTK、橙:CLAS、灰:単独測位

まとめ

本検証では、準天頂衛星「みちびき」のセンチメータ級測位補強サービスCLASを活用することで、「デジタルライフライン全国総合整備計画」で示されているとおり、ドローンにおける衛星測位誤差を効果的に低減できることが確認された。

コア社は、今後こうした高精度測位技術を基盤としたドローン航路の実装は地域における持続可能なデジタルライフラインの確立に寄与するものと考えているという。
引き続き「みちびき」をはじめとする高精度測位技術を活用して、社会課題の解決に向けた技術開発や実証に取り組むことで、安全かつ信頼性の高い空のインフラの構築に貢献していくとのことだ。

———
出典

関連記事

エアロネクスト社、モンゴル郵便とドローンによる郵便物の配送の試験運航を成功裏に実施

株式会社エアロネクスト(東京都渋谷区、代表取締役CEO:田路圭輔)(以下、エアロネクスト社)とモンゴル展開パートナーであるNewcom Group(モンゴル国ウランバートル市、CEO:B.Baatarmunkh)は、Newcom Groupの子会社であるMongolian Smart Drone Delivery LLC(モンゴル国ウランバートル市、CEO:M.Otgonpurev)(以下、MSDD)とモンゴル郵便株式会社(モンゴル国ウランバートル市、CEO:G.Telmen)(以下、モンゴル郵便)と共同で、2025年6月16日から18日の3日間、ウランバートル市内にて初のドローン配送試験運航を成功裏に実施したことを発表した。 この成功は、単なる技術的な前進にとどまらず、次世代の新たな物流インフラ、新スマート配送へ繋がる戦略的な大きなマイルストーンとなるとしている。

  tera

屋内でのドローンの自己位置推定における課題解決への手法提案。Journal of Digital Life に大阪電気通信大・中原准教授らが論文発表

屋内でのドローンの自己位置推定における課題解決に向けて、新たな手法で行った実証実験についての研究論文を、大阪電気通信大学の中原匡哉准教授らが発表した。

  tera

アイ・ロボティクス社、構造物の「いま」をデジタルアセット化。空x地上xAI等を組み合わせ活用した次世代施設マネジメントソリューションを提供開始

株式会社アイ・ロボティクス(本社:東京都渋谷区、代表取締役:安藤 嘉康)(以下、アイ・ロボティクス社)が、屋内・屋外を問わない独自技術を用いたドローンの運用に加え、公共測量にも対応した高精度ハンディースキャナーと自律・遠隔操作移動ロボットによる計測技術、さらに各々で得られた個別データを合成生成する技術を活用し、施設全体のデジタルツインを短期間かつ高精度で作成。さらにそれらを活用するところまで伴走する新ソリューションを開始することを発表した。

  Fuji

JA全農、KDDI、KDDIスマートドローン社の3社、自律飛行型ドローンを活用した事業検討について基本合意書を締結。農作業の労働生産性向上と農業の持続的な発展への貢献を目指す

全国農業協同組合連合会(本所:東京都千代田区、代表理事理事長:桑田 義文)(以下、JA全農)、KDDI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 CEO:松田 浩路)(以下、KDDI)、KDDIスマートドローン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:博野 雅文)(以下、KDDIスマートドローン社)の3社は、2025年6月24日に農作業の労働生産性向上と農業の持続的な発展を図るため、自律飛行型ドローンを活用した事業検討について基本合意書を締結した。

  Fuji

CLUE社、『DroneRoofer』および『RooferCloud』にCAD連携機能を新搭載

ドローン関連ソフトウェア事業を展開する株式会社CLUE(本社:東京都港区、代表取締役 阿部亮介)(以下、CLUE社)は、ドローンを活用した屋根点検・積算サービス『DroneRoofer』と営業支援・積算クラウドサービス『 […]

  tera