非破壊検査にドローンを活用するメリットとは?実施するポイントも紹介
空撮や農薬散布、配達などさまざまな用途で使用されるドローンですが、非破壊検査にもおすすめです。本記事では、非破壊検査でドローンを活用するメリットについて紹介します。さらにドローンによる非破壊検査を実施する際のポイントについても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
そもそも非破壊検査とは?
出典:pixta.jp
非破壊検査とは、対象物を破壊することなく有害な傷がないかチェックする検査方法のことです。対象物の表面の劣化度合いや欠陥の有無など、細かく調査します。
非破壊検査の方法は、浸透探傷検査、磁粉探傷検査、渦流探傷検査、放射線透過検査、超音波探傷検査などさまざま!主に、建物や橋、鉄道、航空機など検査する対象物は多岐にわたります。
非破壊検査で抱える課題点
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非破壊検査では、対象物を損壊せずに検査することが重要視されており慎重に検査しなければなりません。もし検査時に対象物を壊してしまうと、状況次第では使用不可に陥る可能性があります。
例えば橋の検査で橋脚に傷を付けてしまうと、当然ながら崩落するリスクが高くなるでしょう。
そのため、非破壊検査では検査方法に応じた技術力が必要です。
検査従事者の育成に時間がかかる
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非破壊検査では、検査従事者の育成に時間がかかるのが課題となっています。
非破壊検査では対象物を壊さず検査を実施しなければならないため、非破壊検査技術者の資格取得が必要です。非破壊試験技術者資格には、レベル1、レベル2、レベル3の3種類があり、レベル3が高難易度となっています。
各レベルともに一次試験(筆記試験)と二次試験(実技試験)に取り組み、一定の基準以上の得点を取らなければなりません。また受験するにあたってある程度の視力と訓練などが必要となるので、技術者を集めるのにも苦労するでしょう。
さらに試験は一次試験と二次試験でブランクが開いてしまうので、資格取得にかなりの時間を要します。
このようなことから、検査従事者の育成にはかなりの時間がかかるといえるでしょう。
【非破壊試験技術者の資格取得の詳細】
非破壊試験技術者資格の種類 | レベル1、レベル2、レベル3 |
試験方式 | 一次試験(筆記試験)と二次試験(実技試験) |
試験のスケジュール | 【一次試験】3月、9月【二次試験】5月~6月、11月~12月 |
申し込み期間 | 春期:1月下旬~2月上旬、秋期:7月下旬~8月上旬 |
受験資格 | 近方視力検査、色覚検査といった視力検査の実施、レベルごとの訓練時間 |
検査費用が高い
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非破壊検査を実施する際は、費用の高さが課題です。検査内容や専用の装置、対象物などによって異なりますが、低コストで押さえても数十万、高額になると数百万円にも及びます。
少しでも検査費用を抑えたい場合は、安い資材を用意したり、自社で実施したりというような工夫が必要となるでしょう。
検査に時間がかかる
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非破壊検査の課題は、検査時間がかかることです。対象物の規模や装置の種類、作業工程、セッティングなどによってかなりの時間がかかる場合もあります。とくに巨大な構造物であったり、複雑な構造物であったりした場合は、数日かかることは珍しくありません。
スムーズに非破壊検査を実施したい場合はドローンが有効
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非破壊検査の実施には、ドローンの活用がおすすめです。農薬散布や空撮などのイメージがあるドローンですが、非破壊検査にも有効活用できます。実際に高層ビルのチェックやダムの安全確認、橋梁の点検などに活用されているので、破壊のリスクを抑えた点検にはぴったりでしょう。
点検作業が進みやすくなる
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非破壊検査でドローンを導入するメリットは、点検作業が進みやすくなることです。本来は非破壊検査には必要な装置や資材などを用意しなければなりませんが、ドローンがあれば機体とリモコンがあればすぐに点検を実施できます。
さらに高い場所の点検の場合は、足場を組む必要がないのもメリット!点検するたびに足場を組む時間が減らせるので、効率よく点検作業が進みやすくなるでしょう。
人件費の削減がしやすい
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非破壊検査を実施する際は、技術スタッフを複数人用意しなければなりません。しかしドローンを活用することにより、スタッフの人数を減らすことが可能です。必要最低限の人数で非破壊検査が行えるようになれば、人件費の削減にもつながりやすくなるでしょう。
事故のリスクが少ない
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装置を使った非破壊検査を実施する際は、実際に現場に向かい作業しなければなりません。とくに高いビルや橋などは落下するリスクがあり、安全対策を怠ってしまうと事故につながりやすくなります。
しかしドローンを活用することによって、事故のリスクを下げることが可能です。高い場所での検査でドローンを使用すれば、スタッフ自ら危険な現場に赴く必要性はなくなるでしょう。
ドローンを使った非破壊検査でできることとは?
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ドローンを使った非破壊検査でできることは、カメラや赤外線などを使った目視検査や超音波、電磁波などを使った検査などです。ドローンは対象物に対して一定の距離を置かなければならないため、離れた場所から検査をすることになります。
そのため浸透探傷検査、磁粉探傷検査、渦流探傷検査など対象物の表面で実施する検査は、ドローンには不向きでしょう。
しかし建物や高所などで非破壊検査を実施する際は、ドローンを活用することによって効率よく作業が進みやすくなります。もし自律飛行が実現できれば、スタッフが現場に足を運ぶことなく遠隔で検査できるようになるかもしれません。
非破壊検査ができるおすすめのドローン
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ドローンを活用した非破壊検査を実施する際、どのような機体を選べばよいのか迷っている方もいることでしょう。ここからは、非破壊検査ができるおすすめのドローンを紹介します。
1. ELIOS 3 用UT検査ペイロード
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「ELIOS 3 用UT検査ペイロード」は、ブルーイノベーション株式会社が開発したドローンです。超音波の機能が備わったドローンで、道路橋、トンネル、下水道などのインフラ設備や工場、船舶ドックなどさまざまな用途で使用できます。
外観目視検査や測量、厚さ測定など短時間で測定し分析してくれるので、非破壊検査を効率よく実施したい方におすすめです。
2. Voliro T
※画像はイメージです
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「Voliro T」は、高所作業におすすめのドローン!全方位に対応した飛行を得意としており、垂直や斜め方向での飛行ができます。対象物の向きに応じて飛行できるので、高い場所での複雑な向きの構造物でもスムーズに点検をこなせるのが魅力です。
ドローンを使った非破壊検査で押さえるべきポイント
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ドローンを使った非破壊検査を実施する際は、いくつか押さえなければならないポイントがあります。もし誤った方法でドローンの操作をしてしまうと、思わぬトラブルを起こしてしまうかもしれません。
飛行エリアの規制を把握する
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ドローンを使った非破壊検査を実施する際は、飛行エリアの規制に注意しなければなりません。万が一規制エリア外でドローンを飛ばしてしまうと、罰則や罰金などを受けるだけでなく思わぬ事故にもつながりやすくなります。
飛行でトラブルを起こさないためにも、事前に飛行エリアの規制やルールについてチェックすることが重要です。
【ドローンの飛行禁止空域】
・空港周辺
・緊急用務空域
・上空150m以上
・人口密集地区
・国の重要な施設等の周辺(国会議事堂、首相官邸、最高裁判所など)
・外国公館の周辺
・防衛関係施設の周辺
・原子力事業所の周辺
対象物との距離を測る
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ドローンを使った非破壊検査を実施する際は、対象物との距離を取ることも重要です。しっかり検査するために近づきすぎてしまうと、衝突する可能性があります。ドローンによる対象物への破損は0ではないので、しっかり距離を取りましょう。
バッテリーを補充する
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ドローンを使った非破壊検査を実施する際は、バッテリーを補充しておきましょう。点検作業次第では、長丁場となるかもしれません。そのため途中でバッテリー切れを起こしてしまうと、作業の続行が難しくなってしまいます。
さらにバッテリー切れで懸念しなければならないのが、墜落事故です。バッテリー切れにより墜落事故を起こしてしまうと、対象物や人に衝突する可能性があります。このような事故を起こさないためにも、バッテリーを補充し定期的にバッテリー切れがないかチェックしましょう。
飛行練習を積む
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もし、ドローンの操作が初めての場合は、事前に飛行練習を積むことが必要です。機体によっては複雑な動きをするタイプもあるため、人によっては操縦に苦戦するかもしれません。事前に飛行練習を積み、機体の動かし方やバランス感覚などを掴んでから、現場での飛行に挑戦してみてください。
非破壊検査にドローンを導入してみよう
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本記事では、非破壊検査にドローンを活用するメリットやポイントについて解説しました。非破壊検査でドローンを活用することにより、作業の効率化や人件費の削減、事故リスクの低減などさまざまなメリットがあります。しかし誤った方法でドローンを飛ばしてしまうと思わぬトラブルに発展する可能性もあるので、事前に運用方法について検討することが重要です。非破壊検査でドローンを活用する際は、適切な方法で運用しましょう。